「黄瀬、そこで遅れるな」 「はいっす!赤司っち!」 帝光でのバスケは辛かったけど楽しかったのを覚えてる 黒子っちからのパス 青峰っちのダンク 緑間っちのロングシュート 紫原っちのディフェンス 帝光時代の皆のプレイは各自個性的で俺の脳内にも嫌というほど刻みこまれている けど、赤司っちは 赤司っちの事だけは、あんまり思い出せない 一番個性的で誰よりも強くて、誰よりも強く印象が残っていてもおかしくないのに 中学卒業しても忘れられるわけ無かった。 なのに、皆の事覚えてるのに赤司っちの事だけ、胸にぽっかり穴が開いたみたいに忘れてしまってて…。 バスケをしている時に皆の事は必ず思い出す。"今のシュート青峰っちなら"とか"このディフェンス紫原っちなら"とか、とにかく数え切れないほど思い出すのに。 赤司っちの事だけは、どうしても靄が掛かったようにしか思い出せないのだ。 それでも、稀に思い出す 周りの女の子に告白された時に限って、ふと脳内に思い浮かぶ 『黄瀬、遅刻した罰だ』 『もっと早く動け、出来ないのか?』 『お疲れ様、頑張ったな』 いつもは思い出せないのに、こんな時だけ脳内にふと過ぎる これがどんな意味を示すかなんて分かりきってるけど知らないふりを続ける 思い出したくないわけじゃない 赤司っちに思い出せないなんてバレたら殺されそうっすけどね! |