惚気は | ナノ



黒Side



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あの忙しくも記念すべき日となった時から早くも一週間が過ぎようとしていた

あの馬鹿な集も今となっては立派なリア充だ、爆発すればいいのに


あれから二人は、人目も気にせずに馬鹿ップル全開でいちゃいちゃしていた。どのような感じかというと…



「涯ー」
「なんだよ、集」
「えへへー」
「可愛いなあ畜生」



…会話になってねえよ!
という僕のツッコミは(涯の教室を通りすがった時に見て叫んだが)悲しくもスルーされた。



まぁ、こんな感じで二人は凄く凄く凄く幸せそうにしている。

お互い長い片想いだったんだろう、長い期間の想いが爆発してこれか、なんてこった。




弟の集が幸せそうな姿を見て気付く。きっと涯は集の運命の人なんだろう、と

僕は小さく溜息をついてから、小さく呟いた


「僕にも…、運命の人見つかるかな…。」



集の運命の人が涯なら僕の運命の人は誰なんだろう。そんな事を考えてみる



(あんな涯みたいな集に告白されるまで待つような女々しい奴は嫌だね)

(なんかこう…喧嘩強い人がいいなあ)

(それと集みたいな女々しい奴も嫌だ)



と、そこまで考えていたところでドンっと肩に衝撃が走る。あぁ、此処は廊下の中心だったなと思い相手の顔は見ず営業用スマイルを貼り付けて言う


「あ、ごめんなさい」
「あ?廊下の真ん中でボケっとしてんなチビ」

「…あぁ?」


営業用スマイルが壊れて相手の顔を見てみると、そこには…


「あれ、涯じゃん。集はどうしたの」
「…集?」
「お前と付き合ってる奴」
「あぁ…、それは俺の兄だ」
「…え?」
「双子なんだ、俺は弟の方。まぁ白とでも呼べ」


…あぁ!
あの夕食の時に雰囲気が最悪だった弟のアイツか!

僕はにたりと笑って白に嘲笑を浮かべながら言う



「誰が呼ぶか!ノッポ!」
「んだと、チビ助!」
「僕の事チビって言うな!」
「お前だってノッポって言うな!」


廊下の中心で怒鳴り合いをしていたからだろう、教室の中から集と涯が出て来た


「何やってるの、黒兄ちゃん」
「何をやってる、白」

「「コイツが喧嘩売って来たんだ!」」


綺麗に声が重なる僕とノッポ
数秒の沈黙の後に、集が口を開いて笑いながら言う



「僕達は喧嘩しないようにしようねっ、涯!」
「あぁ、そうだな集」
「あははははー」
「可愛いなぁ、もう」


またしても始まる二人の世界に僕は小さく…いや、大きく溜息をついた



「「はぁ…」」


ん、あれ、また声が重なった
隣を見ると同じように驚いた顔のノッポが居る


なんでこんなにハモるんだよ!ともうハモるのが嫌なので心の中で叫んでから二人の世界に入った馬鹿ップルを見守った




(こんの…馬鹿兄)
(…この、馬鹿弟)

(……!)

(よくハモるね二人とも)
(仲良いな、お前ら)


(おい集、お前爆発しろよ)
(兄さん、一回死んでこい)