出発 | ナノ





「聞いていいかな?」
「聞くだけ聞いてあげる」


着替えの途中で言いたかった事を着替えが終わった今ようやく二人に全力で講義する





「なんでミニスカなんだ!!」



このメイド服、何気に凄い。
背中は大胆に開き、うなじに大き過ぎるリボンが付いていて、そこからフリルたっぷりのエプロンに問題のとてつもなく短いスカート

おまけに黒いニーソまで付いた


この服に不満を抱かないわけが無かった



「メイド服ってスカート長いもんじゃないの!?」
「遅れてるわね、集」
「今時長い方が少ないわよ」

「いや…でも…。」


なんとか抗議したいけど、二人からの威圧感のせいで何も言えなかった。僕が黙っているとつぐみが口を開いた


「いっけない!時間時間!」
「つぐみ!車出すわよ!」
「あの…」
「ほら集!早くこれ被って!」


つぐみが乱暴に僕の頭にウィッグを乗せる。

僕の髪と同じ色の長いバージョン…といった感じだけど違和感が酷い



僕がボーっと突っ立っているとつぐみが「早く来なさい!」と外に僕を引っ張りだした。足がなんか…むずむずする。それに先程穿かされたヒールで歩きにくい


「車乗って!早く早く!」
「はいはい…。失礼します」


僕が車に乗ると、つぐみも乗り扉が閉められる。そして車が出た。



…今だけは少し愛しいよ、家が





20分程で舞踏会の会場に着き、無駄に長い階段が目の前に合った

車から降りてスカートやらヒールやらに違和感を感じつつ登ろうとしたところで車の窓が開いて声が飛んできた


「二次会含めて12時30分に終わるから12時には帰りなさいよ!」

「分かった、ありがとう!」



12時には帰らないと、と思いつつ僕は長い長い階段を登り始めた