完璧な舞台設定 | ナノ




黒Side


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二人が校門を出て行くのを確認してから僕は予め集につけておいたピンバッチ型のマイクを通して話している内容を聞く



…盗聴ですけど何か?


集のためだ、仕方ない。
ヘッドホンを鞄から取り出し、本格的に二人の会話を聞きながら尾行をする


『今日の課題出来た?』
『当たり前だ。集は?』
『あんなの出来ないよーっ』
『なら俺が教えてやろうか?』
『本当っ!?教えてっ!』


意外に順調だな…。
というか、やっぱり涯も集に気があるんじゃないか…?


僕はヘッドホンを外して携帯を取り出し集に電話をかける

電話に気付いた集が携帯を取り出すのを後ろから見つつヘッドホンから音声も拾う


『あ、黒兄ちゃんから電話だ』
『あの腹黒そうな奴か…』
『そうそう。ちょっと良い?』
『あぁ、別に構わない』


アイツにまで腹黒と思われるのか僕は…、流石に少し反省


『もしもし?黒兄ちゃん?』
お前、今日帰ってくるな
『えぇ!?』
「良いか?お前は今日こそ涯に告白しろ。勉強を口実にでもして涯の家に行って告白しろ」
『そんな…!無理だよぅ…。』


集が涙目なのが電話越しから分かる。相変わらずのヘタレだな

だけど、僕は気にせずに言う


「ついでに泊まって来い」
『いやいや!それは…』
「分かったな?」
『いや!黒兄ちゃん!』
「告白できなかった場合は僕が校内放送で涯に集の気持ち伝えるから。じゃあ頑張ってね」


返事を聞かずに通話を終了する

再びヘッドホンを装着して二人の会話を聞きつつ尾行を続ける


『どうかしたか?』
『いや、その…。あのさ!』
『ん?』


言えよ…、馬鹿集!


『今日泊めてくれないかな?』
「よっしゃあああああ!」


思わず尾行中だという事も通学路だという事も忘れて叫ぶ不審者…もとい僕が居た

いや、まさか集が言えるとは…兄さんは嬉しい限りだ!


『良い…かな?』
『あぁ、別に良いぞ』
『本当!?ありがとうっ!』
『何かあったのか?』
『黒兄ちゃんに…はは』



これでフラグは立った!
僕は急いで自分の家に帰って集達の盗聴を続けようと思う





(黒兄ちゃんの馬鹿…っ//)
(どうしたものか…。)
(ん?涯なんか言った?)
(いや、なんでもない)

(頑張れ集!兄ちゃんは見守ってやwるwよww!やべぇ、面白過ぎるww)