その顔が好き | ナノ





涯は楽しそうに笑いながらカッターを手で弄び、僕の顔に這わせる

頬に這わされたカッターは少し力を入れるだけで皮膚が切れチクリとした痛みと共に血が抜けて行く。しかし僕は手が縛られているため拭う事が出来ない


「痛っ…」


カッターにより切れた僕の頬は少し遅れて痛みを僕に伝えて来た、そんな僕の姿を見て涯は僕に問う


「痛いか、集?」
「痛いよ…、涯」


じくじくと痛む頬の痛みを我慢して、あくまでも冷静に涯と会話をする


「なんで僕を…?」
「最初に言っただろう、お前が好きだからだ」

「じゃあ…なんで…、」


なんでこんな風に傷つけるんだ
そう告げたかったのに声にならず台詞は途中で途切れてしまった


「良いから、黙ってろよ」


強い口調で言い切られ頬に這わされたカッターは王の力が宿っている右腕を這った。嫌な予感がすると、自分の中で警告が出る

そして涯は躊躇いなくカッターに力を入れた、


「うぁああああああああ!」


先程の頬の皮膚を切るような力の入れ方でなく


突き刺すように
えぐるように刺される


僕は必死に痛みに耐えていると、涯は心底楽しそうに凄惨な笑顔で言う


「もっと、その顔を見せろよ。痛みに耐えろ。

「その顔を絶望と苦痛に歪めろ

「俺は、お前のそんな顔が好きだ。苦痛に歪んだ顔が見たいんだ、分かるか?集。」






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