少年Cの独白 | ナノ





「えっと…生徒会会長になりました。桜満集です…。」

いつの間にか俺の手の届かない場所に行ってしまった。


「わっ!なんだよ、涯!」
「あまり目立つ行動をするな」

俺の隣に集は居ない。代わりに副会長のアイツが居る



遠くの君を見つめるだけ



C





「今度、集に手ぇ出したら殺す」
「分かった…!分かったから…」
「よし、行け」


涙目で逃げて行く輩を冷たい目で見送ってから教室に帰ると明るい笑顔を浮かべた集が居た


「どこ行ってたの?八尋?」
「課題を出してきただけだ」
「そっか!」
「集こそ何やってるんだ?」
「あ、僕は…」


俯く集の右手には二つの弁当があり直感的に気付き言う


「弁当?」
「いや、涯に頼まれてさ」

幸せそうな笑顔の集


「へぇ、集が弁当作ったのか?」
「まぁね、自信無いけど…。」
「大丈夫、きっと美味しいさ」

はにかむような笑顔の集


「あ、僕もう行くね!」

心底楽しそうな笑顔の集


「授業遅れるなよ!」
「分かってるよ!じゃあね!」

集を笑顔で見送る
いや、笑顔が作れていたか微妙なところだった

ずっと好きだったのに
気持ちを伝えないまま過ごした結果がこのザマだ


「情けないな…、我ながら」


小さく呟いた独り言は教室の喧騒に消された



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