002
「さっさと俺を連れてセプター4まで歩け、チビ」
「はあああああっ!?」
猿比古が肩を強く掴んだままの状態で、おかしな事を言い始めてしまった
俺が連れて行くのか!
俺が自ら捕まりに行くのか!
どう考えても、
「おかしいだろーが!」
どんな奴なんだ、自ら捕まりに行くって!…いや、まぁ、自首する奴も居るけどさ
…けどさ!
俺は自首するつもりなんて、これっぽっちもないぜ!
「分かってねえなあ、美咲」
「…な、なにがだよ」
漸く少しだけ軟化した態度の猿比古が、やれやれと肩を竦める
猿比古は顔を顰めたままで、
しかしどこか自信に溢れて、
俺に衝撃的な事実を告げた。
「美咲が眼鏡潰したせいで、俺はセプター4までの道が見えねえんだよ!!」
「威張って何言ってんだ!」
俺が悪いのは否めないが、自分で捕まりに行く気にはならねえよ。
猿比古は俺の言葉を最初から分かっていたかのように、薄気味の悪い笑みを浮かべた
「それじゃ、今から室長と副長に来てもらうしかねえなあ」
「なんでそうなるんだよ」
「犯人が抵抗するから仕方ねえだろ?室長と副長それに俺で、尊さんの所に行って賠償金払って貰わねえとなあ?」
「みっ、尊さんに!?」
な、なんで尊さんが出て来るんだよ!
今回悪いのは明らかに俺であって、尊さんは一切関係ねえじゃねえかよ!
「だって美咲は金持ってねえだろ?」
「うぐっ…!」
図星なのが痛い、これじゃあ反論できない
「そうなると保護者役でもある尊さん…あぁ草薙さんでも良いけど?」
「くっ、草薙さんに!?」
「尊さんが不在だったら仕方ねえよな、それか二人に請求させて貰おうか?」
ふ、二人に請求だって…!?
そんな迷惑をかけるなんて死んでも嫌に決まっている、尊さんに迷惑をかけて更に草薙さんに叱られる…怖い!それは嫌だ!
「さ、どうする美咲?」
「行くって、ちゃんとセプター4まで行くから!」
ニタりと、してやったり顔の猿比古。ぶん殴ってやりてえけど、更に罪を増やすわけにはいかない
猿比古の右腕を乱暴に掴んでやり、半ば自棄になりながら俺はセプター4まで足を運んだ
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