「何言ってんのよ、あんた。紅玉だけどぉ、」
ディスプレイを確認すれば同じ学校に通っていて、義妹である紅玉だった。
私は落胆を隠す事が出来ないまま、紅玉の話を聞き続ける
「優等生の白瑛が遅刻だなんて、珍しいじゃなあい?」
「……。」
「なんかあったわけぇ?例えば――、白龍絡みで、」
「それは、」
最初に白龍と叫んでしまったのが失敗だった。
紅玉はこういう時には引かない女だって事は重々分かっている。
それに…
誰かに聞いて欲しくて、今日の事を一から紅玉に話すことにする
「実は、白龍が…。」
今しがた職員室で聞いた事や、それと照らし合わせて白龍の普段の行動もすべて話した。
紅玉は話の途中で何度か、声を押し殺すように何か言おうとしていた。呆れたのだろうか?
話が全て終わった所で、紅玉は呆れたように溜息をついた。
「はあ…、あんたって本当さぁ、」
「私の落ち度くらいは分かっていますよ…っ」
「そうじゃなくてえ…。白瑛さあ、もうちょっと私達を頼りなさいよぉ!」
「…えっ、」
予想外の紅玉の言葉に思わず間抜けな声が上がる。本日二回目なのが少し恥ずかしい。
紅玉は私の様子を気にすること無く喋り続ける
「白龍は私達の事嫌いみたいだけどぉ…、私は白龍の事嫌いじゃないわよぉ?」
「――!?」
「あんたの事も、それなりに好きだしね。」
「あ…、ありがと、う?」
何で疑問形なのよぉ、と最もな言葉が返ってくるが私は驚きを隠せなかった。
まさか紅玉が私たちの事を、そんな風に思ってくれているなんで思ってもみなかったことで素直に嬉しかった
「ありがとう、紅玉」
「ふんっ、当たり前のことで礼なんて要らないわ。――で、白龍のことだけど、最近ねぇ…うちの高校の近くの公園で中学生共が喧嘩してるらしいわよぉ?」
「本当ですかっ!?」
「噂だけどぉ…、行ってみる価値はあると思うわよぉ?――あーもお、うるさいわねえ!あんたの授業って面白くないのよ!少し黙ってて――白瑛?」
「授業中で、しかも教室で電話して来たのですか!?」
そおよぉ?と至って普通といった様子で答える紅玉。
白龍で頭がいっぱいだったから忘れていたけど、紅玉には常識というのが書けているんだった。
余談ですが、私と紅玉が隣に並ぶとギャルと優等生というバランスの構図になったりする。
「とりあえず、私は公園に行ってみます、紅玉は授業を!」
「はぁーい。じゃあねぇ、」
ぷつん、と声が途切れ機械音が鳴る。
紅玉が授業を受けるのかが心配なところだけど…今は白龍の方が優先だ
「…よしっ、」
紅玉の言っていた公園までは走って十分というところだろう。
わたしは、その場で軽く準備運動をして公園へ向かって全力で走った
「白龍がねえ…、」
白瑛に授業を受けろとは言われたものの、受ける気にはまるでならず携帯から兄達のメアドを探して文章を組み立てる
ガチガチとメールを打ちこみ、兄達へ一斉送信する。
着メロが流れれば先生達にどやされるのは目に見えているので席を立ちあがり教室から出て行く
「練!どこへ行く!」
「うっさいわねえ、用事が出来たのよぉ!それに、白瑛が居ないなら居る意味ないわよ、」
教室へ出てメールで指定した場所に歩いて行けば、三人の影が見えた
流石ねえ、と一言つぶやいてから下駄箱で靴を履いて校門まで足を運んだ
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