もっと激しく俺を憎んで | ナノ




人が持つ感情で一番強い物は『憎しみ』だと言う。
憎悪や嫌悪はやがて殺意へと形を変える、それらは人間の持つ感情の中で一番人の胸の中に深く残るらしい。そのため一番激しく湧き立ち、制御できなくなる…という話を聞いた事がある。誰からかは知らないが、誰かからの受け売りだ

そして、今。
まさにその通りであって、俺は痛く感動していたりする



「死ねっ、クソ猿ッ!」

荒々しく音を立てて背後から闇撃ちに来た人物に思わず口元がニヤける
俺はアイツの背後からの攻撃を軽々と避けて、俺の前へと出て来た彼の目の前に仁王立ちしてやる

「久しぶりだな…、そんなに俺に会いたかったわけぇ?美咲ぃ、」

挑発するように美咲に告げてやれば、美咲は忌々しく顔を歪める。
金属バットでカラカラと音を立てて近づいてくる

「裏切り者が軽々しく俺の名前呼んじゃんじゃねーよっ!」

言葉と同時に大きくバットを振りかぶる美咲
…ここでバットに当たれば美咲はどんな反応するんだろうなあ?と考えてみるも、結果なんて見えきっているため考えるだけで止める
単調な美咲の攻撃を体の軸を少しずらして避ける

「――ちぃッ、」

ガン、とコンクリートとバットがぶつかり合う音がする。
美咲の顔を見れば、視線だけで気が狂ってしまいそうなほどに殺意に満ちている。
美咲は、更に目つきを鋭くしていく

「…、殺す、」

躊躇いも無く吐き出される暴言…いや殺人予告に思わず俺は声を上げて笑いたくなってしまう

「みーさきぃ、」



もっと激しく俺を憎んで?
俺のことだけ考えてればいいんだよ、美咲は。



***



平和な猿美も好きなんですが、やっぱこう殺伐とした猿見も大好きです。

猿比古の戦い方が、どうしても楽しんでやってるって感じに見えちゃうんですよね。



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