単行本八巻ネタバレ アイツはどれだけ一人で泣いてきたんだろう 彼の経験してきた人生を追体験した時、いろんな情報で溢れかえっていたけど一番深く印象づいたのは彼の泣き顔だった。 常に気を張っていた彼だった。周りの人間に情けない姿は見せられないと考え、常に自信満々といった様子で振舞っていた。その裏で彼は何度も一人で泣いていた。仲間が死んだ時、周りが涙を流す中で自分だけは泣かないように必死で耐えて、自室に戻り後悔の涙を流していた。 彼は、どこまでも孤独に泣いていた しかし俺は一度だけ過去に彼の涙を見た事がある。彼は…俺と部屋で取り留めもない話をしている時に、急に涙を流したのだ。 その時、俺は酷く焦ったのを覚えている。彼は理由を話すことは決してせず「煙が目に染みた」と煙草を片手に言い訳をして部屋を出て行った その時の彼の気持ちが、ゆっくりと流れ込んで来る。 彼は、あの時。 「―――――っ、」 なんだよ、馬鹿。 やっぱり、アイツは、 「うぁああああぁあああああぁぁあ!」 喉が壊れてしまいそうなほどに、ひたすら叫ぶ。 叫ぶ、叫ぶ…、叫ぶ! 彼の気持ちが今更になって俺の心に鉛を落としていくようだった。 彼は、アイツは、 カシムは、ただ、このまま、 気付けば俺はカシムの亡骸を抱き情けなく泣き叫んでいた。戦いは終わったと言うのに、心は戦いの前よりも重くなっている気がした。いや…実際に重くなっていた、 周りの人間は、この国の闇が貼れ喜んでいた。長く苦しい日々から解放され笑っている。 「王子!なぜ泣いているのですか?」 「笑いましょう?」 「笑ってください、王子!」 解放された彼らは俺にそんな事を言う。彼らだけでは無い、国中の人々が俺に笑えと言う。笑え?どうして、彼の望んだ物を壊した俺が…どうして、笑える? 「…ははっ、」 精一杯の作り笑顔に国民の喚起する声が鳴り響いた。 俺はカシムの亡骸を再び強く強く抱きしめた。 なあ、カシム。 お前は、あの時…このまま、俺と一緒に居ることを望んでたなんて 「ばかやろー…っ、」 俺だって、そうだよ。 君は泣いた 世界は俺に笑えと言った *** 初カシアリなんですが、やけに重たくなってしまいました。 この二人は公式から怪しい関係なので良いですね、しかしアリババが可哀相な公式。 Back |