僕は居るよ、好きな人 | ナノ



学パロ
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「先生って好きな人居る?」

「唐突だな」


放課後の教室で補習を受けているアルトリアと、アルトリアが脱走しないようにと監視役として教室に残っている担任の切嗣。

アルトリアは解答用紙を埋めながら切嗣への質問を続けた


「減るもんじゃないんですし教えてくださいよ!」

「…嫌だ」

「女子高生は恋愛話がしたいんです!恋の話がしたいんです!」


どうしても恋愛話がしたいらしいアルトリア。切嗣は心底呆れたように溜息を吐きだす。そしてそのまま呆れた声を出す


「そもそも君は女子高生なんてキャラじゃないだろ」

「失礼な!私だって立派な女子の高校生ですよ!」

「……とにかく嫌だ」


頑なに拒否する切嗣は教宅の隣の席から立ち上がって窓際へ行った。アルトリアが切嗣の行動に疑問を抱いていると、切嗣は自信のスーツより銀色に輝く箱を取り出した。

銀色に輝く箱――、それは遠目に見ても分かるシガレットケースだった。切嗣はケースの中から白い筒状の、所謂煙草を取りだして咥えた


「生徒の前で何してるんですか、ボケ」

「別に良いだろ、君の補習に付き合ってあげてるんだからさ」


アルトリアの反論を聞く前に切嗣は左の手の内にあるライターで煙草に火を付けた。教室には相応しくない臭いが充満する。窓を開けているとはいえ、独特の煙草の匂いは外に出る訳では無かった

この担任だけは許さん…。と思っているところでアルトリアは閃いた。勿論、補習の問題の答えなどではなく、先程から切嗣に問いかけているが答えて貰っていない質問の問いかけ方法だ。アルトリアはニタりと普段は見せない笑みを浮かべた


「切嗣センセー!」

「終わったか」

「いいえ、そんなことより聞きたい事があるんです!」

「恋愛話以外なら答えてやらんことも無い」


どうしても恋愛に関しては強く口を固める傾向にある切嗣にアルトリアは席を立ちあがって――叫んだ


「フフフ…、言峰先生に煙草の事をバラされたくなければ私の質問に答えてください!」

「な…っ、卑怯だ!」

「なんとでも言ってください、先生は好きな人居るんですか?」


切嗣の弱点と言えば言峰先生くらいだ。同僚で言峰先生の方が若いけど、主導権は完全に向こうに握られてるとか…。

アルトリアが言峰と切嗣の残念な関係を思い出している所で、切嗣は観念した様子で白い息を吐き捨てた



「――僕は居るよ、好きな人。」




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