滅多に訪れることのないクラスを教室の扉から覗いてみれば黄色い声が響く。教室の中から手を振ってくれる子たちに営業スマイルで微笑みつつ、目的の人物の姿を視界に捉えて、彼の名前を呼ぶ
「あーかしっちー!」
「…誰かと思えばお前か」
「朝ぶりっすね!」
どうりで騒がしいと思ったと肩を竦めて呆れつつ席から立って自分の方へ来るのは、バスケ部主将である赤司っち。バスケ部のスタメンが二人並んでいるせいか、周りの歓声は更に大きくなっていく。そんな外野を無視して、赤司っちに要件を言う
「赤司っちにプレゼントがあるんスよ!」
「――オレに?珍しいな、黒子達では無くオレになんて」
赤司っちに言われて思い出してみれば、赤司っちに対してのみ何かを上げるって事は無かった気がする。黒子っち達のように好きな物が分からないので何かを持ってくると言う事自体が無かった気がする――、そう思うと今更ながらに申し訳なく思える
「気がきかなくて申し訳ないっす!今度、メイクさんにカラコンでも貰ってくるっすね!」
「要らん」
短絡的に返されてしまった。じゃあ何が良いっすか?と問えば、早く要件を言えと言われる。すっかり忘れそうになった本来の目的を言う
「これを赤司っちに渡そうと思って!」
「――なんだ、コレ」
手渡しをしたものの、赤司っちは意味が分からないと言うように首を傾げる。そんなにかわったものじゃないはずなのに、と思い呆気をとられている赤司っちに言う
「何って…シーブリーズっすよ」
「そのくらい分かる、どうしてオレに渡す」
「実は…昨日薬局でシーブリーズを大人買いしちゃって」
「金の無駄遣いしたわけ?」
「いや違うんス!シーズリーズにはいろんな色があって…、皆を連想させる色があったからつい――」
金を無駄遣いしたことを怒っている様子の赤司っちに言い訳のように言葉を並べたてる、赤司っちは小さく嘆息してからニヤりと笑った
「まぁ、ありがとう。貰っておくよ」
「―っ!どういたしましてっす!」
「これは、お礼だ」
お礼なんて要らない、と口を開きかけたところで唇が封じられた。俺の方が背は高いのに、彼にしゃがまされてキスされていた。周りの悲鳴にも聞こえる歓声が五月蠅い、数秒で唇は解放された。
彼は悪びれることなく耳打つように囁いた
「続きは部室で」
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シーブリーズネタが書きたかったんです。赤司っちの色の香りが結構好きだったりします、題名は赤司っちカラーのシーブリーズだったり(笑)