雪の日 | ナノ





今回のお話の設定的な物
――→読んどいた方が良いと思われます

+ 平和な世界(アポカリプスウイルス?え、何それ美味しいの状態)
+ ナチュラルに金髪の涯も銀髪の涯も登場
+ 季節は 冬 !
+ 学校の通学路とかよく知らんけど適当に捏造
+ GHQってなんですか状態
+ てことは葬儀社って存在するんですk/ry

+ とにかく原作っぽさは消え失せてる






雪は嫌いだ


歩くたびに靴は濡れるし触ればしもやけとなって後に痛い目を見る。
それに雪が降るほど外も寒く外に出るのも億劫になっていくが此処は学校だ。
家には帰らないといけないので外に出たくなくても必然的に外に出なくては行けなくなってしまう―――だから雪は嫌いなんだ。



まぁ、幾ら僕が一人で雪が嫌いだと嘆いた所で雪が消える訳でもないのでさっさと家に帰る事にする。外は薄暗く携帯の時計は7時をさしていた。―――早く帰ろう





頭の中は家に帰ることでいっぱいで既にたくさんの人に踏まれてぐちゃぐちゃに溶けてしまった雪をさらに踏みつける事によって僕の靴はべちょべちょになってしまった。幽かな虚無感を感じつつ気にせずに家に帰ろうとしたら僕の帰宅ルートである公園のブランコに一人の男の背中が目に入ってきた。こんな遅い時間に何をやっているんだろう、と思うよりも先にその背中が見覚えのあるものだったので公園の敷地内に入り声を発する


「涯!」
「…なんだ、集か」
「こんな所で何やってるの?」


ブランコには座ったまま顔だけをこちらに向けてくる涯は少し妖しげで寂しそうで綺麗に思えた銀色の髪が雪と同化して見える、なんて一人で考えていると涯は僕のとっさに思いついた問いに答える



「別に、一人になりたかっただけだ」
「そっか」



一人になりたかった、と涯は言ってるのに僕は涯の座っているブランコの隣に座る。雪で湿った感じがズボン越しからでも分かって少し気持ちが悪い。僕が座ると涯は露骨に嫌そうな顔をする


「聞こえなかったか、俺は一人になりたいと言ったんだが」
「いいじゃん別に」
「俺は良いなんて言ってないから早く帰れよ」
「僕はただ此処にいるだけなんだから別にいいじゃん」


好きにしろ、と一言投げ捨てて僕との会話を断ち切られた。ちょっとした慣れ合いのつもりだったんだけど涯の癪に障ってしまったようで互い無言になり静寂が訪れる。時々通路の辺りから女子高生らしきグループがわいわいとして通ったりもするがそれも束の間でやはり少しきまづい空気が流れる



そんな空気を涯の方から断ち切ってきた


「お前は…どうして俺と居る」
「どうしてって言われても…なんとなくだよ」
「俺は周りの人間には気味悪がられてばかりだ、お前とアイツぐらいだ」
「あぁ…もう一人の涯か」
「お前は…何故俺と居るんだ?」



ブランコから立ち上がった涯が僕の目の前に立ち問う。
くすんだ瞳で感情を出さない表情で僕の方を見て問う

僕は上手い言葉が見つからずありのままで問いに答える



「なんとなくだよ、なんとなく。別に大した理由もないよ?ただ一緒に居たいってくらい」
「曖昧だな」
「そんなもんだよ、理由なんて無いよ」


本当にありのままの言葉を吐き出すと
さっきまでの感情の無いくすんだ瞳が、なんとなく暖かい瞳変わったように思えた



まぁ、元気になったんならなんでもいいかと一人納得した所でビュウと風が吹いて体が冷え、先ほどよりも寒く感じたので家に帰ろうと思いブランコから立ち上がると、目の前の涯と対面する形になった

なんて言ってから帰ろうかな、と考えていると目の前の涯に右腕を掴まれた。



「え?」



間抜けな声を出したと同時にぐいっと引き寄せられてバランスを崩して涯の胸元に倒れ込んだが、涯はびくともせずに僕を受け止め背中に手をまわして抱きしめてくる。自分とは明らかに違う胸板に苦しさを覚えつつも体格の違う涯に力で敵うはずもなくされるがままになると同時に全身がじくりと熱を帯びてくるのが分かった。自分からも涯からも見えない顔も熱く熱っぽくなってきた


何故か分からないけど恥ずかしくなったので涯の背中を叩くと涯からの束縛はあっさりと解けた



「いきなりなんなんだよ!」
「別に…俺の勝手だろうが」


ふっ、と意味ありげに笑ってから先程までの束縛は嘘だったように涯は公園から出て行き姿は見えなくなった

姿は見えなくなったのに先程の熱はまだじわじわと僕の中に残っているような気がした




一人になった公園で小さく自分に聞こえるくらいで呟く


「本当、あいつは……。」


――雪みたいな奴だ。
銀色の髪や触れれば痛い目を見る、まるで雪だ


「雪も少しだけ好きになれたよ」


小さく呟いた独り言は雪と一緒に消えて行った




(もう少しだけ此処に残ろう)



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