限界寸前 | ナノ



今まで自分の世界には二種類の人間しか存在してなかった。自分を好きだと言う人間と、自分を嫌いだと言う人間。モデルなんてやってたのが原因かもしれないけど、その二種類の人間だけで自分の世界は回っていた、のに。


「好きではないですが、嫌いでもないです。強いて言うなら面倒ですかね」

「好きなわけないのだよ。だが、努力だけは認めてやらん事も無いのだよ」

「嫌いだ。あー、お前との1on1は嫌いじゃねえよ」

「どーでも良いよ。お菓子くれる黄瀬ちんは好きかもね」


好きではない
嫌いではない
では自分の事をどう思ってるんだろう。今まで自分の事を好きでも嫌いでもないと言う人に出会ったことは無かった。だから、今の彼らの反応が少し怖くて――、一番頼りになると言っても過言ではない人が居る場所へ来た。今の時間は、彼は部室で詰将棋でもしている気がして来てみれば――居た。

「おや――」
「赤司っちは…俺の事好きっすか!?」

自分の知らない人間が怖くて、彼なら答えを出してくれる気がした

「好きだよ?」
「――っ!」

彼は自分の知ってる側の人間だったのか。そう思って安心した、――しかし彼はさらに言葉を重ねた

「僕の気持ちは好意だとしても黒子達は少し違うな。」
「黒子っち達は…?」
「アイツ等は、お前が大切で仕方ないんだよ」

大、切。
自分には聞き慣れない言葉に思わず体が固まる。

好き、ではなくて、
嫌い、でもなくて、
ただ、大切。

「涼太も大切な仲間なんだよ。」
「たいせつ…、なかま…。」
「じきに分かる、それと。」

席を立ちあがって扉の前でぼうぜんと立ち尽くしている自分の横を通って部室を出ようとする彼。彼は、すれ違う寸前で自分にだけ聞こえるくらいの声で呟いた


「僕の告白の返事も考えておいてね」







***


迷走しまくった。
時期的にはスタメン入り直後くらいかな?

チームメイトとして大切って言うのが部活に入ったこと無い黄瀬には理解できなくて、バスケ部の好意に怯えるって感じです。意味不明すぎですね!

赤司様はヒントは出すけど肝心なことは何も言わない人だと嬉しい。


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