食べ物の恨みは | ナノ





アルトリアと士郎は普通の学生。切嗣は家でゴロゴロしている爺嗣。言峰は近所の神父的な配置


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 部活も終わり、帰ったら昨日士郎に買って貰ったポッキーを食べようなどと考えつつ帰宅していた

「ただいま帰りました」

 声が返って来ない所から今日は士郎はバイトの日だと悟る。だとすれば家に居るのは彼…衛宮切嗣だけなので居間に顔を出すのは止める

 どうせ喧嘩になるのが落ちだ

 そんなことより、ポッキーの方が大切だ。胸を高鳴らせて廊下を走り、菓子が置いてある戸棚を開けた


「……?」

 おかしい、ポッキーが見当たらない。今朝までは確かにココに置いてあったはずなのに…。
 消えたポッキーを探していると、机の上の赤いパッケージが視界に入った。誰が出したんだと思いつつ手に取れば違和感が発生した

――軽い。

 中身が無いみたいに軽い、いや違う。ないみたいじゃない!これは――

「あ…アァアアアアッ!」

 雄叫びが狭い室内で反響する。しかしそんな事は気にならない。



 私のポッキーがない
 誰かが勝手に食べた…



 私は額の血管を浮かび上がらせたまま、既に分かりきっている犯人の名前を叫んだ。朝に合って昼に無いなんて、そんなの昼間中家でゴロゴロしているあのニート爺しかいない。

「切嗣!出てこい、切嗣!」

 空になったポッキーの箱を手に廊下を音を立てて歩く。そして勢い良く扉を開けば、ポッキーの中身の袋を持って、ポッキーを咥えている男が居た
 
 男…、もとい切嗣は素知らぬ顔をしている。私は切嗣の真正面の位置を座る

「切嗣」
「…」
「なに素知らぬ顔で人の物を食べてるんですか」
「…」
「返事しやがれしてください」

 思わず敬語が崩れる。私の言葉に頑なに口を閉ざす切嗣に苛々が徐々に溜まって行く。

 仕方が無いので最終手段を使うことにした。切嗣には一番効果的な行動を起こすのが今の状況では一番良いだろう。

「切嗣…。」
「…」
「そうですか、意地でも口を開きませんか…!」
「―…、」


「私、言峰教会に所用が出来たので行ってきま―「待って!

 顔色を変えて口を開く切嗣。しかし私は切嗣の言葉を完全に無視する

「留守番頼みましたよ」
「ごめんって!」
「切嗣はポッキーでも食べながら寛いでいてください」
「僕が悪かった!謝るから…言峰だけは勘弁して!」
「…言峰さん来てくれるかな」

 ひたすらに謝っている切嗣を無視して居間を出る。未だに悲鳴らしき声が聞こえてくるけど無視、大体人を無視する方が悪いんです。切嗣が悪いから切嗣への罰なだけであって私は悪くないです。

「それでは行って来ます」


 扉を閉めて、教会へ向かう。言峰なら必ず来るだろう、それはもう死んだ目で無表情な彼が目に見えて楽しそうに浮かれ立って来るだろう。





(あ、言峰さーん)
(ん?あぁ、どうした?)
(切嗣がまた私に酷い言するので、粛清を…)

(是非行かせて貰おう)



***



私が楽しみにしていたポッキーが暑さで溶けてしまって苛々してたので、切嗣くんに犠牲になって貰いました。切嗣くんごめんねー(*´ω`*)

尊敬サイト様で、お菓子を買って欲しいと駄々をこねる切嗣に萌えたのもきっかけです。結論、切嗣くんは天使です。



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