「――まだ切りたくない」 此処にきて切嗣のトーンが急激に下がった。 私は眠気に負けそうになりつつ言葉を発する 「私、もう眠くて――」 「分かってるんだ、ごめん」 「…切嗣?」 ――やはり、おかしい よく考えれば、普段は鉄面皮で感情も言葉に出さない彼だ。そんな彼が今日に限って、饒舌だったり、笑ったり、変わったことを言ったりと。 こんな大きな疑問を抱えたままでは眠れないので切嗣に諭すように言いながら、探る。 「切嗣、私くらいに嘘をつかなくても良かったんですよ?」 「…嘘は言ってない」 「では、何が――」 そこまで言うと、切嗣は恥ずかしそうに口を開いた 「あー、その、さ。」 「―――?」 珍しく歯切れが悪い。彼が今の様に言葉を選ぶことは滅多に――嫌ない。どんなことだってハッキリと辛らつに言ってしまう人なのに。 私が色々考えていると、切嗣は恥ずかしそうにしたまま言葉を続けた 「僕は…こうやってないと君に優しく出来ないからさ。」 ← / → Back |