テープとハサミと | ナノ




視点/ウェイバー

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「文化祭の係を話し合えと言われたんだけど、面倒なので僕が勝手に決めておいた」

『待てコラ』

「異論は認めないからな。発表するから聞き逃すなよ」


文化祭でホストクラブをすると決まって一日。

僕のやる気というやる気は、完全に消え失せてしまっていた。元より少なかったやる気が消え失せてしまったのだ、正直な話どうとでもなれば良いと思っている。


前後左右に居るアホ達は、なんだかんだと文句を言いつつも楽しそうだった。

僕は、そんなお前等の事が心から羨ましいと思う、真似をする気はさらさらないけど。

そんな事を考えている内に担任の衛宮先生は淡々と話を進めていった


「係は三つな。接客、調理、雑用。接客はディルムッド、ギルガメッシュ、ランスロット、アルトリア。調理は言峰、間桐、その他出来る奴。雑用は名前を呼ばれなかった奴な」

『ちょっと待て』

「はいホームルーム終わりー、各自作業に移れー」


衛宮先生は無理矢理気味に話を打ち切った。


…あれ、ちょっと待って!僕の名前呼ばれてないって事は、僕って雑用!?それは嫌だ!


「センセーっ!」

「ウェイバー…?珍しいな、君が挙手なんて」


滅多に挙手しないことが功を奏したのか衛宮先生は僕に反応を返してきた。接客は無理だけど、調理くらいは僕でもそれなりには出来るのでアピールしてみることにする


「僕、調理できるので調理の方へまわして下さい!」

「嘘つけ、家庭科の評価がEの癖に何を言ってる」

「うぐ…っ!」

「あぁでも、そこまでいうなら――、、ウェイバーは道具係でもするか?」

「道具係?」


三つの中で出てこなかった聴きなれない言葉に思わず首を傾げる。

それは僕だけでは無かったようで、クラスの全員が首を傾げていた、――ある一人を除いて。


「何それっ!すっげー楽しそう!俺もやりたいっっ!」


急に隣から騒がしい声が響いてきた。無駄に大きい声のせいで、先生の方に向けていた神経が隣の席の――雨生龍之介に勝手に移ってしまっていた


その隙を狙ったかのように先生は畳み掛ける勢いで口を動かし始めた


「道具係は作業に必要な物を集めて来る…まあカンタンに行ってしまえば、全ての係のパシリ係な。ウェイバーと雨生に任せる、じゃー各自適当に作業に移っとけ」

「え、ちょっ…!」


反論する間もなく教室を出ていく先生。雑用の更に下のパシリ係になってしまった。しかも雨生と一緒。

どうしよう、文化祭へのやる気が0を軽く超えてマイナスになってしまいそうだ


雨生はパシリ係になったというのに、やけに楽しそうに笑っていた。

そのうち飛び火が掛かってきそうなので早々に逃げようとしたが雨生は僕を逃がさなかった


「よろしくね!ツンデレの姉さん!」

「誰がツンデレで姉さんだ!僕は男だっての!」




『…えっ!?』

「何で全員で驚いてんだよ!馬鹿にしやがって!!」



 このクラスメイト自体も嫌いになりそうです、文化祭と関係無しに。