出し物は何にする? Fate/Zero | ナノ




「出し物を決める、今から配る紙にやりたい事を書け」


心底めんどくさそうな声で、白いメモ用紙を配り始める担任の衛宮切嗣

私は特に良いボケが見つからなかったので【女装喫茶】と書いて半折にした


五分ほど経ち「書けた奴から出せ」と切嗣が言うので教宅に紙を出す

全員が紙を出したのを見計らって切嗣が紙を一枚ずつ取り出し黒板に書く



 ――数分後

 黒板に書かれた出し物を見て私は…言葉を失ってしまった


【女装喫茶】

【バトルロワイヤル】

【ホストクラブ】

【休憩所】

【衛宮切嗣の数学講座】

【漫画喫茶】

【自作映画】



『…………』


二年F組ともあろうことか静まり返っていた

皆、黒板からぬらーっと視線を逸らしていく。この結果は直視するには厳し過ぎた


誰も何も言わない状況が数分続いて担任の切嗣が珍しく怒りを露にして言う


「……お前ら」

『…………。』

「これでいいと思ってんのか!?」

『……返す言葉も無いです』


これは酷い
私も若干ふざけたけど、まさか全員がふざけているとは…。


切嗣が出て来た案にツッコミを始める


「ホストクラブってなんだ!何をするんだ?!」

「我が女を落とすだけだ!」

「お前か!ギルガメッシュ!」


何を書いてるんだ貴様
此処は高校なのだから無理に決まっているだろう…。


「バトルロワイヤルなんかしたら死人出るだろ!?」

「それが良いんじゃん!」

「やはり雨生か!」


そんなグロい意見を出すなんて貴方しか居ないと私も思っていました

龍之介は今日もブレませんね…。


「休憩所って何だよ!完全に手抜きだろ!?」

「文化祭めんどくさいので」

「ランスロットォ!後で説教だ、来いよ!」


ランスの本音は「文化祭で雁屋に変な虫がつくのが嫌」という所だろう

それにしても切嗣がキャラを失って叫び続けている、これはこれで怖い


「数学講座を提案したの絶対言峰だろ!」

「決めつけは良くないと思うが」

「お前意外にこんなことを書くかよ!!!!」

「失礼ですね、まぁ合ってますが」

「言峰!お前も説教だ!」


ゼーハーと息を乱しつつ叫ぶ切嗣を見て、ニタリと笑う綺礼。

これは…また嵌められたようですね切嗣。まぁ助け舟など出しませんが


「この漫画喫茶って明らかに楽するつもりだろ!」

「だって…この面子で文化祭なんて!」

「ウェイバー!もっとクラスに心を開け!」


 お前が言うな!と叫ぶウェイバー。私も思いました。

 まぁウェイバーは派手に文化祭で活躍したら更にファンが増えるから嫌なんだと推測。人気者も大変ですね…。


「このクラスで自作映画が作れると思ってる奴は誰だ!」

「え…。駄目ですか…?」

「お前かディルムッド!」

「はい…、こういうのも良いかと思いまして…」

「めんどくさい!却下!」


唯一と言って良いほどの、まともな意見に×を付ける切嗣にへこむイケメン。

しかし私も自作映画はどうかと思います、このメンバーで出来ると思うディムの頭は少しおかしいみたいです。


「女装喫茶って男子へ恨みでもあるのか!?」

「あ、勿論先生もですよ?」

「さらりと僕を巻き込むな!」


皆が自白しているので私も嘘をつかず自白すると、言峰にグッと親指を立てられた

……切嗣の女装案が彼の中では良かったのだろうか?あんまり知りたくは無いが


一通りにツッコミを入れて、汗をかき始めている担任は深呼吸をして息を整えて言った


「……投票を始める」

『…(正気か!?)』


全員の心が一致したところで切嗣が再度紙を配り始める

自分が投票したい物を書けと言う事だろうか…何を書けばいいのやら


とりあえず一番投票の少なそうな【ホストクラブ】と書き、投票した

正直どれもやりたくないので、少数派に入りたい


全員が投票し終わったのを見計らって切嗣が紙を一枚ずつ見ながら黒板に正の字を書き始めた



何故か緊張感が走る



「…投票結果だ」

『…………』
 

黒板を見れば正の字が一か所に集中していた。

私は数分前の自分を殺したいと思いつつ黒板を再度見る、しかし結果は変わって無かった



【ホストクラブ正正正正】



「…そんなわけで僕達のクラスはホストクラブに決まった」


切嗣もバツが悪そうに視線を逸らして言う

どういうことだろう…この現実から目を逸らしてしまいたいのですが…。


「…少数派だと思ったのに」

「ウェイバー…貴方!」

「え、まさかアルトリアも…」


前の席のウェイバーの呟きに反応すれば、どうやら同じみたいだった

少数派を選ぼうとして皆が選んだ…と言う事だろうか?


ホストクラブを提案したギルも、まさか決まるとは思って無かったようで驚きを隠して居ない。




「……まぁ、頑張るように。以上。」


切嗣が視線を逸らしたまま私達へと言う、あぁ…悪い夢であってほしい…




そんなわけで、私たちのクラスはホストクラブをやることになった…。