屋上に繋がる扉を開けば、冷たい風が吹き荒れた 殺風景な屋上には輝くオーラを纏う男が居て、彼の姿を確認してから声を掛ける 「おまたせ涼太」 「〜っ!赤司っち!」 「ほら今日の分の弁当だ」 「わーい!有難うっす!」 駆け寄ってくる涼太に弁当を手渡す 僕が涼太に弁当を作るようになったのは数週間前の事。涼太が毎日パンやゼリー食しか食べないのを見かねて、僕が作ろうかと申し出たのだ バスケ的にもそんな栄養素の偏ったものじゃ体が作れないのでバランス的な物も考えて作っている 「今日も豪華っすねー!」 「じゃ、僕はこれで」 「えー!一緒に食べないんすか?」 「…はぁ?」 「赤司っちと食べたいっす!」 この寒い中で食べるの? そう問いかければ涼太は普段の邪気のない笑顔で、勿論っす!と言う ふぅ、と小さく溜息をついて涼太の座っている隣まで移動し、自分の弁当を広げる 「いただきますっ!」 「どうぞ」 割り箸を割って食べ始める涼太を横目に自分の弁当に手を付けた 特に話題も無いため黙々と食べ進めていると、不意に涼太が口を開いた 「あ、赤司っちって…」 「ん?」 「赤司っちって好きな人居るんすかっ!?」 「唐突だな」 「い…居るんすか?」 割り箸を置いて興味深々と言った様子で聞いてくる涼太に、僕は心底呆れながら質問に質問で返した 「どっちだと思う?」 「うー…、分かんないっす!」 「じゃあ秘密」 えぇ!?と明らかに不満そうな顔を上げる涼太に、早く食べないと明日は抜きだと告げる。その瞬間割り箸を手に取り黙々と弁当を食べ始めていた 「…気付け、馬鹿」 僕が弁当を作るなんて、そんなの涼太が好きに決まってるじゃないか。モテるくせにこういうのには疎いなんて本当―― 気付かない犬は苦手です 早く気付かないかな、でないとコッチが困るんだけど *** 後に赤司が鈍感な涼太にキレてツン状態になったりすると良いな 学食なんて毎日は高いだから無理よね、きっと |