お前が | ナノ





「しゅう」
「…あ、れ。涯…?」


意識が朦朧とする

僕は何故涯と居るかも分からない状況に陥っている。分かるのは僕は身動きが取れない事くらいだ


ゆっくりと頭を回転させると僕はようやく後ろで縛られた腕に足元に付けられた鉄球に気がついた、この二つが身動きを封じるのでもどかしい

僕は恐れを消してフランクに涯に聞く


「涯…、何これ?」
「見ればわかるだろう?」
「ねぇ…冗談だよね…?」


じわじわと恐怖を実感する。頭の中で警報がガンガンと鳴り響いている、これは危険だと鳴り響いている。

涯は凄惨に笑った


「お前は俺だけの物だ」


その言葉が重く痛く鋭く自分の頭に伝わってきて僕は恐怖を隠せなくなる。そこで涯は追い討ちをかけるかのように近くの机の上に置いてあったカッターを手に取り僕の顔に這わせ、凄惨な笑顔のまま言う



「良いか、お前の全ては今この瞬間から俺のものだ。桜満集と言う存在は俺のものだ。抵抗をするな。俺を受け入れろ、そうすれば悪いようにはしない。しかし、お前が少しでも抵抗の素振りを見せた場合は…」

頬に這わせたカッターに力が入りチクリとした痛みを感じる。薄皮が切れたと言うところだろうか。小さな傷だが、ゆっくりと血が抜けて行く感じが僕の中を走りぬけて行く

あぁ、そうか。


「僕は涯に―――…」


捕まってしまったのか、と声にならず呑みこんだ

今更分かっても、抵抗なんて出来るはず無かった









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確かに恋だったより





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