盗撮2 | ナノ



 ストーカーについては色々と話したけど結局良い対策は見つからず、魚も釣れずで最悪の状態で今日は解散となった。


「相談乗ってくれて、さんきゅーな!」


 爽やかな笑顔を浮かべて俺にお礼を言う夏樹。…まぁ、実際は何もしてないんだけど。解決策も何も見つからな――

 ――カシャリ


「ん?」


 先程視線を感じた所から、シャッター音が聞こえた。勢いよく振り向いていると、一眼レフを持った…その…。非常に信じがたいと言うか、信じたくないと言うか、なんて言えばいいんだろう。見つけたくなかったと言えばいいのかな?

 そこには――、クラスメイトの姿があった


「……!」
「…………」


 なんてリアクションをしていいのか分からない俺と、絶対に夏樹に喋るなよと視線を送ってくるストーカーの犯人――っていうか、アキラの姿があった。熱そうなターバンを頭に巻き付けて、無駄に歯を輝かせてニヤりと笑っている。


「ユキー?帰ろうぜー?」


 釣り道具の片付けも終わって帰ろうとしている夏樹。…どうしよう、犯人分かったんだけど、しかも犯人クラスメイトなんだけど。ねえ夏樹気付いてください馬路で。

 アキラからの視線も痛く、絶対に喋るなよ喋ったら許さねえよ分かってるよな?あぁ?という視線が飛んでくる。もうどうしろと、俺にどうしろと!?




 散々悩んだ挙句(実際には十秒ほど)俺は作れてるか分からないけど笑顔を作って夏樹に言った



「ス、ストーカーについては、やっぱり警察に言ってみよう?ね?」
「おー…。まぁ、そうするわ。」
「じゃあ早く帰ろう!今すぐに!」


 釣り道具を普段の数倍の速さで片づけて、急いでこの場を去った。……アキラからの視線に負けたよ、負けたよ!あんな鋭い視線向けられたら何も言えないよ俺!





 後は警察に任せておこう。ほら、盗撮って犯罪だから警察の仕事だし、僕が何かするまでもないじゃん?そういう事にしとこう!お願いだから!





夏樹…。ストーカーと盗撮の被害に合ってるなんて不憫過ぎる……。