何度だって君だけ騙す | ナノ



聖杯戦争って何?
二人とも普通の人間



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玄関に彼の靴があることを確認して、彼の部屋の扉を壊れてしまうのではないかと言うほどに大きな音を立てて開けた。そこには私が探していた人物が、普段通り煙草を片手に新聞を広げ読み耽っていた。その姿を見て私は苛立ちの臨界点を超え、叫ぶ。


「切嗣!また私に嘘を教えましたね!」
「騙される方が悪い」
「〜っ!これで何回目ですか!」
「四十二回目だけど、悪いのは僕じゃなくて君だから」


私の方を見向きもせずに普段と変わらない平坦な声で応答する切嗣。普段なら士郎が来たり、私の方が折れたりして、言い争いは収まるのだけど…今日は何故か私の気が収まる事を知らず切嗣の目の前に立ち論議を続ける


「何故騙すのですか」
「特に理由は無いさ、君が騙されている時の顔や今の様に騙された事を怒る顔も好きだから…そのくらいだよ」
「私がそんな言葉に納得すると思いますか?」
「納得するんだ、僕は嘘を言っているわけではない」


そう言ったと同時に切嗣は、煙草を一旦右手に持って息を吐いた。煙草独特の匂いで部屋が染まっていく。私は切嗣の、その行動を見て確信を持って言葉を重ねた


「切嗣、気付いてますか」
「何が?」
「貴方は心にも無い事を言う時に、煙草を手に取り息を吐く癖がある事を存じてますか?」
「…偶然だ」
「いいえ、偶然じゃないです」


最初の頃、出会って間もない頃は気付かなかったけど、こうして付き合いが長くなってくると切嗣の癖も見えて来た。私が長年切嗣と付き合ってきて見つけたのは、この癖ぐらいだ。士郎に嘘を教え込んでいる時も必ずと言っていいほどに、切嗣は煙草を手に取り息を吐き出す。

と…切嗣は、普段私や士郎には見せない様な笑みを浮かべて言う


「アルトリア」
「何ですか、切嗣」
「僕の癖を見つけるほど、僕の事を見てくれてたって事?」
「…え?」
「僕は他人に癖を読まれるほど油断はしてないよ。」
「いえ、しかし…!」
「そんなに僕が気になった?」


ふぅー

意地の悪い笑みを浮かべて、煙草の煙を私に向かって吐き出す切嗣。知ってますか?煙草の副流煙は体に悪いのですよ、どうしてくれるつもりですか。そう言いたかったけど、あまりにも切嗣が楽しそうにしているので言うタイミングを逃してしまった



「ねえ、アルトリア」
「何でしょう、切嗣」


昔と違って柔らかい笑みを浮かべて喋る切嗣を隣に、私は穏やかな心持で応答する。





「僕は何回だって君を騙すよ、君が僕を見てくれるなら」

…少し洒落た事を言えるようになったのではありませんか。そう言いたかったけど、顔が熱くて言う事は出来なかった




***


なんだこれ( ゚д゚ )
切嗣とアルトリアちゃんが熟年夫婦なだけじゃないっすか、誰だよこんな意味不明な小説書いた奴。――私です、申し訳御座いません(土下座)

ただ、切嗣に「何回だって君を騙す」という台詞を言わせたかっただけなんです…、それだけの出来心だったんです…。