爆発 | ナノ





舞踏会から数日たったが僕は部屋で一人、何をするという訳でもなく視線を宙に彷徨わせていた



初めて人を好きになった。所謂一目惚れをした。それも王子様に。

涯さんの事を考えるたびに胸がズキズキと痛んで勝手に涙が溢れて来て家事も何も出来ない。そんな日々が続いていて義母達も何も言ってこなかった。僕も何も言えなかった。



窓から外に飛び出す。裸足で芝生に立つと足が痛いけど、そんな痛みは気にならなかった。

空を見上げると黒で塗りつぶされたように星一つない空だった。今の自分の気持ちと同じようで…ふと、あの日の事を思い出した。舞踏会の日の事…。



『俺のものになれよ、集』

「なんで…、あんな事を言ったんだよ…。」



別れ際に囁くように、そして縛るように放たれた言葉が、僕の胸に突き刺さって涙が溢れてくる。忘れられないんだ…涯さんの顔も声も僕の脳は全部を記憶してしまっている。

無意識の内に言葉が漏れた



「好き…っ。」



小さく漏れた呟きは自分でも予想外だった。今まで僕は自分の気持ちなんで言葉にしたこと無かったから、初めて自分の気持ちが言葉になって…止まらなくなってしまった。



「やだ…嫌だ!」
「好きなんだ…っ!」
「涯さんの事が…っ」

「涯さんの事が…っ、好きなんだっ!!!!」



呟きは叫びとなって涙が溢れてくる。こんなに辛いのは初めてだ…。誰かを想って泣くのも初めてで…、



今まで自分の中で溜まりきっていた気持ちが初めて爆発してしまって、自分でも制御なんて出来なくなってしまっていた。