夏の恋 | ナノ


▼ 徳川家康と恋

今までの花火大会は兄と妹と一緒に家で見るというのが当たり前だった。

今年もそうなるであろうと思ってた…

だが今年は少しだけ…嫌、かなり違っていた。


「家康、遅くなってしまって申し訳無い」

「嫌、構わんよ。ワシも今来たところだ」


違っているところ…幼馴染みであり、武将仲間の徳川家康がいることだろう。

今回、兄と妹は何を思ったのか私に浴衣を着せ、家康と花火大会に行ってこいと言ってきた。

正直断りたかったが、珍しいお願いだったので来てしまった。


「…あまり見ないでくれ。似合ってないのは自分がよく知ってる」


私は今、白い浴衣に紅色と青色の浴衣を着ている。

妹が選んでくれたのだが…正直、あまり私に合ってない気がする。


「なっ!?そんなこと無いぞ。とてもよく似合ってる」

「ありがとう…家康もな」


家康の浴衣は紺色で裾の方に向日葵が描かれている綺麗な浴衣だ。


「忠勝が作ってくれたんだ。ワシも気に入っている」

「戦国最強が浴衣を作るとは…」


駄目だ…想像ができない。

と言うより、出来たんだな裁縫…


「そう言えば…さっきからずっと歩いているが、いつ着くんだ?」

「確かもうすぐ…嗚呼、此処だ」

「…」


綺麗な所だった。

空には満点の星が一杯広がっていた。
城下町には屋台の光がキラキラと光っている。


「此処にひじきを連れてきたかったんだ。だから無理を言って二人に頼んだんだ」

「そうだったのか…ありがとう。とても嬉しいよ。あ」


ドーン!!

と、大きな黄色い花火が上がる。

その美しい光景に目を奪われる。


「また来年も一緒に見に行こうな…ひじき」

「…嗚呼」


来年も彼と見に行こう。

だから、


『家康ぅうううううううううううう!!』


と、背後から聞こえる声は全力で否定しようと思う。



20140730.
徳川家康/月夜様

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