兄弟パロ








夢をみた。
自分の手が幼い。世界が大きい。俺は子供だった。
高い高い自分の声があちこちに散らばって俺は不安になる。
白い靄がかかった優しげな夢なのだが子供の俺にとっては恐怖でしかなかった。

おにいちゃん

俺は必死に両手を宙に浮かせて彼を探した。


こわいよ
おにいちゃん


遂に泣き始めた俺を誰かが優しく抱きしめた


大丈夫だよ
お兄ちゃんが守ってあげるから。


望んでいた優しい声を聞いて、俺はその腕に必死にしがみついた。














朝日がカーテンから差し込んでいる。朝日が顔を照らすが静雄はそれに唸り声を上げた。まだ夢と現実の境を行き来している

「お…にいちゃ…」

微かな声で囁いて手に触れた暖かいものを夢の中の彼と認識し緩く抱きしめる。そこではっきりと。静雄の意識は覚醒した。


「おはよう」


抱き着いたまま声のした方に顔を上げる。そこにはうっとりするような美貌の男がいた。
静雄の寝ているベットに座り、静雄に抱き着かれているのにも関わらず眉ひとつ動かすことなく、男はされるがままになっている
静雄は、

甲高い叫び声を上げた。














「朝から五月蝿いなぁ。ご近所迷惑でしょ」
「てめぇ!なに人の部屋入って来てんだ!!」
「起こしに来てあげたんでしょ…君、目覚ましかけたって所詮悪あがきだってことにいい加減気付いたら?」
「うるせぇ!!」

静雄は真っ赤になりながら兄、折原臨也に対して怒鳴り散らした
兄と言っても血の繋がりは一切ない。
10年前、両親が離婚し静雄は母に引き取られ、その母の再婚相手の連れ子が臨也だった。

「朝ご飯できてるから。はやく食べちゃってよね」

臨也はそう言い残し、静雄を置いて部屋をでた。
静雄は思う。臨也は知らないのだ、否、知られてはいけないのだ。
静雄は臨也に恋をしていた。
























続きません
(110512)
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