擬人化性転換



「僕は魔女になるんだね」

男の子が魔女だなんてちょっと可笑しいね、とマミは笑った。私は笑えなかった。どうして笑うの、人間は訳がわからないよ。そう言うとマミは淋しそうに笑ってじゃあどうして君は泣いてるのと言った。
わからない。勝手に溢れてくるんだ。どんどん僕の体はおかしくなっていく。そんな僕をマミは笑った。どうして笑ったの、そう尋ねるとマミはもう一度笑った。人間はよく笑う。その笑顔にはいくつか種類があるようだけど、僕には全く区別がつかなかった。

「でもやっぱり嫌だなぁ…あんな姿にはなりたくないや。」

マミは僕の涙を拭いながら言った。(やっぱり笑っている)

「ねぇ、僕のお願いをきいてくれるかな?」

僕は頷く。
マミは笑う。

「あの子達を決して、魔法少年にしてはいけないよ。あの子達は…まだ死を知らないから。」

……僕はよく生かされた。ありがとう、


そう言ってからマミは強く僕を抱きしめた。温かい。と思った。涙は全く止まらなかった。










マミは僕を抱く腕を放した。
それでもマミは力強く笑っていた。
放さないで、そう叫ぶことなど僕にはできなかったのだ。
彼の飛び散った肉片を見つめて僕は声をあげて泣いた。
そこからの記憶がない。
映像が途切れ、長い長い時間真っ暗闇で過ごしたような感覚から目を覚ました。
気がついたら周りは瓦礫の山。
僕の手を掴む彼は、力強く叫んだ。

「キュゥべえ、僕と契約して!」

「僕の願いは―…!!」



男の叫ぶ声がする。やめろ、と。僕は彼の顔を見上げた。彼の名前を知っている。彼の名前は、



「…ま…どか…」

まどかは笑う。
この手を放してはいけない。僕は叫ぶ、魔法少年の最後を知ってるのか!まどかは答える。全て見てきた。僕は訳がわからなかった。記憶のない間にいったい何があったというのだろう。僕は頭を振った。

「絶対に駄目だ!まどか!君だけは絶対に―…!」
「大丈夫。」


大丈夫だよ。

その笑顔はあの時のマミと同じものだった。
僕はまどかの腕を放した。


「―…マミ…」



僕は、どこで間違えた?















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