「臨也雰囲気かわったよね」

臨也が甘い卵焼きを口に運んだところで新羅は笑いかけた。臨也は不思議そうに新羅を見つめ返す。屋上は風が強い。新羅は顔にかかる髪をどけながらサンドイッチを頬張りながら臨也が卵焼きを飲み下すのを待った。

「…そう?」
「そうだよ」
「どんな風に?」
「丸くなった」
「ふぅん」

臨也は弁当の米を口に運ぶ。新羅は臨也の動く頬を眺めて三分の一程手に残っていたサンドイッチを口の中に放り込んだ
臨也は何か言葉を選んでいる感じがした。これはもしや。新羅は口の中のものを飲み込んで、カフェオレをすすった。

「そういえば静雄遅いね」
「…うん」
「自販混んでるのかな」
「…さぁ」
「臨也」
「何」
「静雄に抱かれた?」

ばこん。
音がしたのは屋上の扉だった。目をやると顔を真っ赤にした静雄が立ち尽くしていた。音の招待は静雄が一階の自販で買ってきたパックのいちごミルクが落ちた音だった。
新羅は静雄と臨也の顔を見比べた。静雄はばつが悪そうに顔をそらし、臨也は弁当を食べ終わりご丁寧に両手を合わせ「ごちそうさま」と呟いていた
新羅は驚きと薄々感じはじめている事実に背中に嫌な汗が伝うのを感じた。

「新羅」

口を開いたのは臨也だった。
臨也は新羅の顔を見て、にこりと天使のように笑った。あ、可愛い。と思ってしまったのは何かの間違いだ。

「違うよ」



「俺が抱いたの」


次の瞬間静雄は可哀相なくらい真っ赤になって臨也!と諭すように叫んだ。
新羅は臨也の顔を凝視する。臨也は弁当を片付けながら微笑んだ


「俺、彼女色に染まっちゃうタイプだから」


嘘つけ!
新羅は心で叫び、いまだ扉の前で戸惑いながら立ちっぱなしになっている静雄を迎えに腰を上げた。
















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