熱い。くたりと不動は首を折り髪を掻き上げた。中学の時に比べ髪は随分と伸びさらさらと彼の頬を撫でつける
耳を覆いたくなるような音がする。着込んだ服の下ではじっとりと汗が滲んでいた。

「ふ、どう」

やけに熱を孕んだ声が鼓膜をくすぐる。男の声は切羽詰まったもので、不動はもう好きにしろと思った。

「いいよ…」

いいから、もう、はやく…
その不動の囁きに男は生唾を飲み込んだ。
いつからだろう。いつから男は不動に浅ましいこんな感情を抱いていたのだろう。不動を見て聞いて感じて欲情し興奮し勃起し熱を持て余す。不動はこんなふしだらな感情をこの男が人並みに持ち合わせていて、しかもそれを自分に向けていると知って悦んだのだ。
不道徳で、非社会的で、とても人様には言えぬ、背徳だ。
だから不動は拒まない。男の手が不動の体を這い、奥の奥まで暴くことを彼は受け入れる。
男は不動の体を弄ぶ。

「……鬼道ちゃん、」

それと同じように不動もまた鬼道の心を弄ぶ。
お高く止まっている何の汚れも知らぬような男が不動と同じ所まで落ちて来る。不動はそれが言い知れぬ程に気持ちが良かった、けれど同じ位死にたくなるのだ。
不動はもしかしたら、鬼道とはただの友達でいたかったのかも知れない。















(110326)
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