ちゅ、と額に軽いリップ音。宮田はゆっくりとした動作で顔を上げた。
牧野は困ったような顔(いつもだが)をしながら顔を背けていた。心なしか頬の血色が良いように見える。
宮田は感触がした額に触れながら牧野の顔を凝視する。
牧野は居心地悪そうに身じろいで、そして何も言わず部屋を出ようとした。
が、宮田の手がそれを許さなかった。
牧野の腕を引き宮田は牧野の腰に腕を回した。
診察椅子に座っている宮田の顔は必然的に牧野の腹部辺りになる。宮田の牧野を抱く力は強くなる。宮田はそこに顔を埋めた。
牧野は困ったように二つの腕を中にさ迷わせていた。
しばらくすると宮田が小さく口を開いた


「……牧野さん」
「…はい」
「……兄さん」
「…………はい」

見上げる宮田の顔を見て牧野は少し笑って、宮田の額にかかっている染められた髪を指で軽く撫でた
宮田は牧野のその掌を掴んだが牧野は困ったように笑っただけであった。


「…自惚れても、いいんですか」


宮田の問い掛けに牧野は驚きに目を見開いた後、優しく笑って開いている手で宮田の頭を撫でた











「はい。」




















(110319)
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -