するり、と絹に包まれた掌がデリックの手を包んだ。
心地の良いその感覚にデリックは瞼を閉じる。日々也は何も言わずデリックの手を撫でた。

「デリックさん」
「…ん?」

名を呼ばれ、デリックは目を開く。キラキラとしたピンク色の瞳は日々也しか映していない
日々也は優しく微笑み、ピンク色に塗られているデリックの爪を撫でる。くすぐったさにデリックは微かに身をよじった。

「ふふ」
「も…なんだよ…」

デリックは呆れたように日々也を見つめる。日々也はデリックの手の甲に口づけた。

「ちょ…!」
「え?」

デリックは弾かれたように手を引っ込めた。
日々也は驚きに目を丸くした後、残念そうに眉を下げた。
その顔がデリックの中に罪悪感を産む。日々也は愚かな主人や計算高いアンドロイドなんかよりずっと純粋で清廉なのだから、きっと傷付いてしまったに違いない。
どうするか迷っていると日々也の腕が伸びてきた。
されるがままにされているとデリックは日々也に抱きしめられた。あたふたとするデリックのヘッドホンを外し、現れた耳元に日々也は口を寄せた


「嫌―…ですか?」
「えっ…いや………っ」


ぞくり、とデリックは下半身に甘い痺れを感じた。
きっと顔と耳は真っ赤になっているに違いない。デリックは日々也のマントを掴んで、羞恥に耐え忍んだ。
日々也は尚も耳朶をやわく噛んだりしてデリックを追い詰める。


「傷付きました……」
「ぁっ…ご、ごめ…!」


耳に息を吹き掛けながら囁かれたことで、ぞくんとより一層甘く強い快感がデリックを襲う。
もしかしたら、日々也は確信犯なのかもしれない。
デリックが人一倍快感に敏感で、日々也が大好きで、日々也に抵抗できない事を、日々也は誰よりも知っている。
デリックは羞恥による涙を浮かべながらその先を促すように、強く日々也を掻き抱いた。














(110303)
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