さてどうするか。
トラファルガーは思考する。
目の前には静かな寝息を立てている想い人(恋人である)そして夕暮れの教室にはふたりきり。
隙あらばキスできる絶好の機会だ。が。
生憎この恋人様はキスが嫌いらしい。
いつもの甘い時間(彼調べ)もキスしようものなら恋人様の許可が必要である。
恋人様曰く「グロスが落ちる」。なんとも今時女子高生のような台詞だが、トラファルガーの恋人様は何を隠そう立派な男性である(その上トラファルガーより身長が高い)。
欲望に忠実な年頃のトラファルガーは薄く開けられた唇を見つめる。
恋人様だけにはフェミニスト面をするトラファルガーは、彼の前で狼になれずにいたのだ。
少し位なら、いや

トラファルガーは恋人様の唇寸での所で顔を止めた。
そして薄く笑って顔を離す
嫌われたくないからな。


「ユースタス屋、起きろ」


トラファルガーは言ってユースタスの肩を揺すった。
誰もいない教室にはやけに声が響く。彼は直ぐに体を起こした。

「な…ん…あー…悪ぃ」
「そろそろ帰るぞ」
「おー…」


ユースタスは伸びをして、そのままの体勢でトラファルガーを見つめた。


「なんだ?」
「…いや?」

恋人の葛藤に、ユースタスが気付いているのかは誰にも判らない。













(110228)
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