温かかった。
指先を合わせただけなのに。涙が出る程温かかった。
こんな辛いのなら、好きになんかならなきゃよかった。
「最悪、だ」
男は長い長い金髪を掻き上げて密やかに笑った。
「まだわからないんだね、可哀相に」
「お前はわかってるのかよ」
「勿論。神だからね。」
「傲るな」
泣きそうになる顔を伏せる俺に男は言い詰める
「想えばいい。欲しがればいい。僕は全て受け止める。」
きらきらした瞳に自分が映る。指先の熱が体に広がる。
「僕は、君を想えば想う程、怖くなるよ」
男の腕の中は指先より温かかった。まるで溶けてしまいそうになる。
「辛いんだ。」
弱った男は色を持っていた。
自分はこの美しい男に想われているのか。
この男の総てが欲しかった。
(110225)