雨が降ってきた
雨は嫌いだ。風介は窓の外を眺めて曇天を睨みつけた
湿った空気が嫌いだ。肌寒さが嫌いだ。音が嫌いだ。
風介はソファーに倒れ込んで纏わり付く空気が嫌になってエアコンのリモコンに手を伸ばした
温度設定は高めだから寒くはない。ソファーの上で丸まった外で響き始めた雨の音が嫌になる
そのうち風も轟き始め、台風かと頭の隅でぼんやりと思った。部屋の電気は付けていないから妙に孤独感を感じる
ひとりだ
ひとりなのだ私は
そう思うと不安がどぷりと胸に溢れた気がした


「ただいま」

扉が開いてびしょ濡れの晴也が帰ってきた
その瞬間部屋の明かりが点いて風介は少し驚いて身体を起こす

「おかえり」
「つか何してんだよお前電気も点けねぇで…しかもエアコンとか充分涼しいだろ」

あー寒!と両腕をさすりながら晴也はリモコンの停止ボタンを押して、テレビの電源を付けた
晴也はそのままぱたぱたと走りながら風呂場へ向かって行った
丁度チャンネルはニュース番組で、台風が接近しているとキャスターが淡々と述べた後に中継映像が流れた
外では雫が窓ガラスを叩いている

「風介ーヒロトは?」
「知らん」
「あんだよそれ…はぁ酷い目にあった…」

晴也は服を脱ぎ捨て部屋着に着替えていた
フェイスタオルでがしがしと髪を乱暴に拭いていて風介は顔をしかめた

「台風こっち来たんだな」
「そうだな」
「お前何でそんな元気ない…」

窓から強い光が差し込んだ瞬間に轟音が響いた
電気が消え、テレビも電源が落ちて部屋には何の明かりもなくなった
外では雨粒とゴロゴロとなる雷の音が相変わらず鳴っている
風介は頬に濡れた髪が触れるのを感じた
晴也の震える腕が首に回されて、怯えるような息遣いが耳元で聞こえる。
風介は自分に抱き着いてきた晴也の背中をゆっくりと撫でた

「っ…!」
「…晴也」
「やだやだっ…やだ…!」

晴也は本当に脅えていた、雷ごときに。
風介は晴也を強く抱きしめて耳元で囁く

「雨が嫌いなんだ」
「……は?」
「嫌なんだ、晴也」

そう言って強引に口づけた



ソファーに押し倒すと晴也は胎児のように丸くなって、再び鳴るであろう雷鳴に震えていた
湿った赤い髪に触れると、晴也はびくりと身体を揺らしてそろりと風介を見た

「…風介、」
「何だ」
「何するつもりだよ、ばか」

仄かに赤くなり涙目で見上げてくる晴也に風介は微かに笑って額に唇を落とした
その時再び雷が鳴り響いた
小さく悲鳴を上げた晴也を抱きしめると彼は必死に風介にしがみつく

「大丈夫だよ」
「無理!絶対落ちた…!絶対落ちた…!」

晴也の身体は冷たかった
風介はそろりと晴也のTシャツの中に手を滑り込ませて蕾に手を添える

「っあ!」
「冷たいな」
「当たり前だろっ…」

晴也は風介の背中に手を回してぎゅうと風介の服を握りしめている
風介は乳首を舌と指で愛撫しながら空いている左手を晴也のハーフパンツの中へ潜り込ませた

「やめ…!」
「ほらまた鳴るぞ」

制止の声を上げる晴也に風介は笑いを含んだ声で囁く
それだけで晴也は黙り込んで風介の髪を掴む
それが風介は愉快で仕方なかった

「っ…は、やだ、ヒロトが帰ってきたら…!」
「その時はその時だ」
「ふうすけぇ…!」
「集中して」

ゆるりと晴也の精器を握ると彼の身体は面白い程跳ねた
手を動かすと段々と芯を持ち勃ち上がって来る
晴也はふるふると震えながら風介にしがみつく
空ではまた雷がぐずついていた

「はっ…、風介っ…!っ…ん、んぅ、あ!」

がくがくと晴也の足が震えている。びくりと一際痙攣して、晴也は風介の手の中で達した
余韻に浸りくたりとしている晴也の下半身から衣類を全て剥ぎ取る
閉じた菊門に指を滑り込ませると晴也はぐっと口に手を宛がい声を押し殺した

「っ…う、んんっ…あ…はぁっ…」
「晴也…力抜け」
「はっ、むり…!」

晴也はふるふると頭を振って拒絶して見せたが、白濁を指に絡めてそこを擦れば簡単に揺るいだ
つぷんと指を潜り込ませ、付け根まで押し込む。風介はきゅうきゅうと自分の指を締め付ける媚肉の感触にくらりと目眩がした

「やぁ…!あ、あぅっ…」
「晴也…」

指を三本に増やしぐちぐちと出し入れする
風介は空いている手で勃起していた精器を取り出して指を抜いたそこに押し付けた
晴也が息を呑んで、風介は晴也の微かに湿った香りのする肩口に顔を埋める

「晴也…挿入れていい?」

晴也はびくりと体を揺らしたが、微かに頭を縦に振ったもんだから風介は一定のペースで精器を押し込んだ

「ひゃあっ!は、ぁっ…あぁっ!」
「くっ…つ、」

根本まで挿入すると晴也は放蕩とした顔を浮かべて風介のものを締め付けた
ずるりと先端まで引き抜くと晴也の内側が捲れて真っ赤な肉壁が見えた。
晴也の前立腺に向けて勢い良く押し戻すと晴也の身体は面白い程跳ね返る

「っあ――!あっ!あぅっ…ぅう…!」
「随分気持ち良さそうだな、晴也…」
「ちがっ…!あっ…ひぅんっ!そこっ…そこぉっ…!」

未だに復活しない電気のせいで晴也の顔は段々と見えずらくなってきた
風介は晴也にキスをして晴也の震える舌を唇で愛撫する
晴也は快感にうち震えて風介の肩に服越しに爪を立てた
その時再び雷が鳴った
晴也は今まで以上に風介の精器を締め付けて、風介は目を見開いた

「っ…おい…晴也…!」
「だって!だって無理だっ…!やらぁっ!あっひゃぁっ!」

太ももを抱え直して、じゅぷじゅぷと出し入れを繰り返す
晴也の精器からは先走りが吹き出して、腸内はきゅんと収縮する
風介は晴也の前立腺目掛けて射精した

「あ…!あぁ――…!!」

晴也は溶けきった甘い声を上げて腹に白濁をぶちまけた





どうやら二人して気を失っていたらしい。雨と雷の音は未だに止んでいない
風介の胸の中にはTシャツ1枚で眠る晴也がいた
停電も復活していない。するとソファーの下に落ちていた携帯が鳴った

「…もしもし」
「風介?ヒロトだけど、電車止動く気配ないんだよね…そっち大丈夫?」
「停電してる」
「うわ参ったな…俺はとりあえず瞳子姉さんちに泊まらせて貰うからさ、晴也は?」
「寝てる」
「ははっ、そう…じゃあそういう訳だからさ、二人で頑張って」
「ああ…それじゃあ」

携帯を閉じると携帯の光が眩しかったのか晴也が唸って目を覚ました

「あー?まだ停電してんのか…」
「ヒロト今夜は帰れないだって」
「え?そんな酷いのかよ」
「電車止まってるみたいだし未だ停電してるし」
「最悪…それじゃあ風呂も入れないじゃねーかよ」
「今更だろう」

含みのある言い方をすると晴也はかぁっと赤くなった
そして俺の服どこだよ!といつもの調子で喚き始める。風介はそんな晴也を尻目に懐中電灯がどこに仕舞ってあるのか探そうとソファーから降りたのだが、服の裾を捕まれた

「何だ?」
「かっ…雷鳴ったらどうすんだ!」

それにお前雨ごときが怖いんだろう!と晴也は赤く染まっている顔を紛らわせるように言う
風介は

「もう怖くないよ」

そう言って珍しく笑った。























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