つまりはあれか?俺はあれなのか?あの…こう世間一般で…言われる…そう、あれ。

「鬼道ちゃんってホモなんだな」

違う。
断じて違う!

「…違う」
「違うって…じゃあ何でキスしたの」
「…何でだろうな」
「あんた俺のこと嫌いなんだろ?」
「ああ大嫌いだ」
「潔い位はっきり言いやがったなこの野郎」

別にいいけど
そういって不動は瞳を伏せながら座っていた椅子から立ち上がった
その動作が心なしか雰囲気があった
ムラっとなんかしていない
ただ寝ていた不動が何だか愛らしく感じてしまい、気付いたら、気付いたら―…
脳裏に焼き付いた、奴の、肌の色と、唇の、

「うっ…うわあああああ!!」
「うおっ…びっくりした…何だよ突然デカイ声出すな!」
「違う!絶対違う!俺は絶対ホモなんかじゃ…」
「…あー…もういいじゃんか俺気にしてねぇし、誰かに言うつもりもねぇし」

そう言って不動は俺の横を通りすぎる

「…言わないのか……」
「そこまで性格歪んでねぇよ。いいじゃねぇか気の迷いでキス。青春青春」
「青春から一番遠いお前に言われてもな…」
「バラすぞ」
「すまん俺が悪かった」

不動は楽しそうに笑うと部屋から出て行った
不動は柔らかくなった
こう、ふわふわした感じに
いや俺は奴が嫌いなんだが
というか本当に何故俺は不動にキスなんか。
もしかして不動はキスが初めてだったのではないか?
俺も初めてだった
初めてが男だなんて最悪すぎる。一応謝った方が精神的にも楽になるのではないか
俺も、不動も

俺は急いで部屋のドアを開け、不動を追い掛けた
直ぐに奴は見つかり、腕を掴む

「あ?…鬼道ちゃん。何?言わないって言ったじゃねぇか…そんなに信用ねぇのか俺」
「それじゃない」
「じゃあ何だよ」
「一応謝りに来た」

はぁ?と不動は声を上げて眉を寄せる

「気にしてねぇってば」
「俺が気にする。だってもしファーストキスだったら悪いことをした。ごめん!」

頭を勢いよく下げて、精一杯の誠意を見せた
しばらくしても何の反応もないため、俺はそろりと体を元に戻す
目の前には顔を真っ赤にした不動がいた

「…不動?」
「…お前っ…何で俺が初めてって知ってんだよ!」
「いや俺がそうだからもしかしたら不動もって…」
「はっ…はぁ!?ありえねぇ!もう本っ当…馬鹿じゃねぇ!」
「馬鹿とは失礼な。俺は真剣にだな…」

そこで言葉を止めた
どうしよう
目の前で少し俯く小さな体
真っ赤になってあーだかうーだか唸っている
その姿が何だか
何だかとても可愛く思ってしまった

「不動、俺、お前に訂正しなくてはならないことが」
「はぁ?んだよ…」
「俺はお前が好きだ」

さらりと口からでてきた俺の告白に不動は音がでる程真っ赤になって口をパクパクしている

「なっ…なななな…」
「これがときめきか、ああ成る程…」
「意味わかんねぇ!ばっかじゃねーの!!」
「承知している」
「このホモ!」
「ホモだな」
「っ…!」

言い返す言葉がないのか不動は悔しそうに震えている
それが妙に可愛らしくて俺は久し振りに声をだして笑った

「笑うな!」
「なぁ不動」
「あぁ!?」
「キスしていいか」

え、そう口に出した不動の唇に自分の唇を押し当てる
薄く目を開けると不動が大きい瞳をぱちくりしていたもんだからゴーグル越しに笑ってやった






























(100905)
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