ヒロトが円堂守を好きなことは誰でも知っていた
勿論リュウジもその内の一人で彼の場合あの黒歴史時代から彼が円堂守に心酔している所を見てきた
複雑だ
まだ精神的に不安定な年齢のリュウジは男同士で恋愛というものがただただ異常だと思っていた
恋愛とは異性で育む感情だろう、と
ヒロトはリュウジの憧れだった
しかし不思議と嫌悪感は抱かなかった。
リュウジは自分の感情がただの憧れなのか恋慕の情なのかわからなかったからだ
もしこれが特別な感情なのだとしたら、自分もヒロトと変わらないではないか
ただ違うことは、自分の思いは絶対叶わないということだった


「緑川、ごめんコーン取り行くの付き合ってくれないか」
「え?うん」

練習中、ヒロトが声をかけてきた
家族同然に付き合ってきたから改めてチームメイトとして接されると変な感じがする
ストレッチをしていたリュウジはすたっと立ち上がりぱたぱたとヒロトの横についた

グラウンドから離れた倉庫の鍵を開けて粉っぽい中へ入る
薄暗い倉庫内からコーンを引きずりだして分担して運ぶ
ヒロトが何も言わず気持ち持つ数が多いのがリュウジは心地好かった
無言でコーンを運んでいると宿泊所の陰に円堂が見えた
どうやら豪炎寺と話しているらしかった
リュウジは少し違和感を覚えた
何故か胸がざわつく
ヒロトが立ち止まり、リュウジも吊られて足を止めた
二人は日陰にいて表情は余り見えないし声も聞こえない
だが鈍感なリュウジにも理解できた
あれは、逢い引きだ
毎日一緒に生活しているのにこの表現はおかしいと思ったが、そうとしか言いようがない
そう考えてる内に円堂は豪炎寺の手を引いて更に宿泊所の陰に入っていく
見てはならないものを見た、そう思って目線を地面へ落とす
その時要約リュウジはヒロトに気付いた。
勿論見ていただろう、彼は
リュウジは弾かれたようにヒロトを見上げる
彼は、ただ真っ直ぐに彼らを見つめていた
リュウジは言葉を失った
ヒロトも判っていたのだ、自分の恋が叶わないものだということは。
ヒロトはリュウジの目線に気付くと、にこりと笑って「戻ろうか」と言った

「…ヒロト」
「何?」
「本気で好きだったんだね」
「はは、何突然」
「だってさ」
「いいんだよ、俺は」
「よくないよ」
「緑川」

ヒロトは振り向いて泣きそうになっているリュウジを見た
そして困ったように笑ってリュウジは優しいねと言った

ああ、俺はヒロトが好きなのか

リュウジは泣きそうになるのを堪えてただ一言、そんなことないと呟いた




































(100902)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -