平和島静雄という人間を知ったのは中学生のときだった
興味を抱いた要因は友人の新羅がいつも話していたから、ただそれだけ。当時俺は日常と人間を心から愛していたが少し退屈していたのも事実。中学三年間はまだ見ぬ平和島静雄という人間に隠れた恋慕を募らせていた。
高校入学式で遂に平和島静雄その人と出会うことができた
俺としては全身全霊で好印象オーラを出していたつもりだが彼はそう上手くはいかなかった。それもそのはず彼は俺の愛する人間ではなかったのだ。
なんたる失態。生憎俺には化物をも愛するという器量の良さは持ち合わせていない。ごめんね平和島静雄君。俺の中の平和島静雄という元人間の化物の株は急降下していったのだった。
そして今現在もまだまだ平和島静雄は俺の中の底辺ランクにいる。
さっさと縁を切ってしまえば良かったのに俺の中に存在する好奇心が後ろ髪をひいてずるずる関係を続けてしまっている。
今日も今日とて仕事で向かった池袋の街中で彼の逆鱗に触れ、自販機やら標識やらを投げ飛ばされてきた
もうこれは俺達のあいさつ代わりになってしまっているからどうってことはないのだがいい加減彼と腹を割ってしっくり話してみたいなあなんて考えるようになってしまった。俺も歳をとったのか、それともこの関係に終止符を打ちたいと内なる何かが訴えているのか、俺自身にも分らなかった。
ここで今一度言っておく。俺は平和島静雄が世界で一番大嫌いだ。








俺が平和島静雄と初めて出会ったのは高校三年生の時。
気付くと彼は俺の隣でプリンを頬張っていて、その姿がなんだか可愛らしくて笑ってしまったことは未だに覚えている
彼は俺に文句を言うが実は心がとても繊細で、純粋なのだと知っているから言い返したりはしない。好きな子を傷つけるようなことはしたくないから。
そう、俺は平和島静雄が好きだった。
化物と忌み嫌われ、たった一人で歩いてきた彼を癒すことができたのなら、俺が彼の支えになれたのなら、これほど幸せなことはない。
だがこの思いが届くことはないのだ。
平和島静雄には思い人がいる。そいつを殺してやりたいが、そうすれば彼は酷く傷つくからできずじまいなのだ。
結局自分が可愛いと思っていたのに彼が愛しくて仕方がない。
俺が彼の心の一番傍に居たい。それなのに思いが叶うことはない。世の中は残酷だ。
そうは思わないか、臨也。

俺は沈む意識の中問いかけた。
返事が返ってくることはないが、それでもいい。
結局俺は傍観者であって二人の中に介入することはできないのだ。
それでもこの恋が叶うことがあるのならば、その時は静雄君。

君に精一杯の愛を叫ぼうと思う。
















(100828)
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