花火と星
夏休みにやり忘れたのだろう。
部室の掃除をしていたら花火が出てきた。
「花火ですか…」
「花火だね」
今日は梓くんと二人きり。
他の部員は用事等があるからと言って休んでいる。
「そう言えば花火やってなかったなぁ」
「ならちょうどいいじゃないですか。捨てるのもあれですし花火しましょう」
出てきた花火の袋を手にとり悪戯に微笑む梓くん。
それにつられる僕。バケツに水を入れ準備完了。
秋なので5時、6時となると辺りは暗くなる。
「季節外れの花火ってのもいいね」
「そうですね。でも夏にやるよりは寂しい感じはありますけど」
「みんな来てないからかもね。部長も引退しちゃったし…」
インターハイが終り三年生は部活を引退。
今だに部長が引退したのに慣れていなくて、気持ちがスッキリしない。
「…先輩。部長がいなくなっても今までの仲間は変わらずにいますよ。それに僕がずっと先輩の側にいます」
「えっ?」
「大好きな先輩の側を離れるわけないでしょ?」
花火みたいな一瞬の輝きなんていらない。
欲しいのは星のような永遠の輝き。
やばい、好きになりそう
(惚れました?)
(うるさいな)
(あ、図星ですか?)
20101011