ツバサへ嫉妬
「翼くんの名前っていいよね」
「ぬ?そうか?」
じっと俺の方を見て、いきなり何を言い出すのかと思えば名前の事。
「天羽翼…。ずるい」
「ずるいってι」
優兎はいつも変な事を言い出す。
「天羽と翼」
「ぬ〜?」
でも嫌いじゃない。
優兎が言うことには意味があって、それを聞くたびに優兎の考えてる事がわかるから。
「どうずるいんだ?」
「羽と翼。なんか空飛べそうじゃん」
「え……」
「天羽の天って“空”って感じでさ」
そんな事今まで考えた事なかった。
「僕も空飛びたいな〜」
羽と翼。
自分の名前について君はこんなに考えてくれる。
自分の名前が前よりずっと好きになった。
大丈夫。僕は飛んで行かないよ
(優兎の名前もいいよね)
(え、そう?)
(星空。お星さまみたいにピカピカ光ってるじゃん)