「・・・ん」









 あれ‥あたし…
 ここ保健室?








 「‥あたま、いた・・・って





        弦一郎?!」











 保健室のベッドの脇で
 あたしの手を握りしめながら
 すやすやと夢の中な弦一郎








 「なんか可愛い‥
 (帽子かぶったままだし)」







 倒れる寸前に見た弦一郎の
 焦った顔を思い出した



 繋がった手のひらからは
 弦一郎の体温が伝わってくる

 大きくてしっかりした手は

 あたしを、
 安心させてくれる



 起き上がろうにも
 まだ熱があるのか
 体が少し重い


 だからもうしばらく…‥
 このままでいよう








 弦一郎が、目を覚ますまで







 「少しくらい、いいよね」










 そしたら、元気になるから

 また頑張れるから






 この手を離すから




 今はこのままで‥







 「おやすみ、弦一郎」




 トレードマークの
 黒い帽子に、

 そっとキスをして



 数分後、あたしはまた
 夢の中に旅立った










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 (幸せな夢を見た)
 (叶う事のない、夢を)







 










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