side Sanada

















 「千尋‥?」











 暗い室内


 入り口から入る光で
 微かにとらえたのは






 儚く小さい





 今にも壊れてしまいそうな姿















 「‥っ・・・」


 「大丈夫か?」


 「あ‥うん、大丈夫だよ」






 とてもそうは見えなくて、
 無理した笑顔が痛々しい









 「泣いて、いたのか‥?」





 頬には涙の後






 「‥全然!汗だよっ」







 そんな言い訳
 嘘だとすぐわかる








 「誰に閉じ込められた?
 言ってみろ・・・」


 「えっと‥なんか中に人がいるの
 知らなくて…鍵かけちゃったん


 「…千尋!」


 「(ビクッ)っ痛‥」











 強く腕を掴んだら
 異様に痛がる千尋‥



 とっさに後ろに隠した手には
 血が滲んだ絆創膏















 「‥お前も、嫌がらせを
   受けているんだな…‥」






 気づけなかった自分は愚か者だ









 「違うのっこれは‥その」

 「もういい」

 「これは自分でっ‥だから」













 俺はどうしたらいい?


 どうしたら千尋は‥
 どうしたら‥俺に頼ってくれる?

















―ギュウ―












 「さ、なだ‥く」




 強く抱きしめれば、
 小さく体がはねた




 「強がらなくてもいい
 泣いても、いいんだ‥」


 「強がってなんか、ない‥よ?
 あたし元々強いもん・・・」







 強い人間なんてそういない
 もっと早く気づくべきだった

 千尋はいつも笑っていたから
 弱い所など無いと思っていた




 そんなはずある訳がないのに









 「怖かっただろう・・・
 遅くなってすまなかった」

 「・・・っ!」

 「‥千尋、我慢するな」















 「‥っごめ、…ッ‥(涙止まれっ)」


 「ああ、もう大丈夫だ」
















 俺の腕の中で子供の様に
 泣きじゃくる千尋

 いつも…もう少し、
 甘えてくれてもかまわないのに













 「もっと俺達を頼れ」


 「‥迷惑、じゃないっ…の?」


 「迷惑なものか!」







 そう言った瞬間千尋が顔をあげた




 「あ‥ありがと…」













 









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