振り向いて、

 そしたら目の前は真っ黒で



 心臓がドキドキいってて












 「っ、千尋…‥」











 ああ、あたし今
 弦一郎に抱きしめられてるんだ










 「げ、んいち‥ろ」







 名前を呼んだら
 急に体から離され

 すまない、って一言
 謝られた







 なんで謝るの?
 あたしが嫌がると思った?

 それとも、


 さっきの相合い傘の子への
 罪悪感?









 「  、ううん」

 「氷帝の制服‥か」

 「あ、うん」








 気まずい雰囲気になって
 二人とも黙ってしまう

 弦一郎が何か言いかけたから
 それを遮るように
 口を開く










 「さっき‥相合い傘、してたでしょ」

 「えっ、あ‥いやあれは」






 明らかに焦りの色を見せる弦一郎






 「いつの間に彼女つくったの?
 すっごい可愛らしい子だったね」







 自分で言ってて悲しくなる
 なんて自虐的なんだ

 だけど何処かで
 "違う"って言ってほしくて








 「いや、彼女ではない」

 「へー、お似合いだったのに」

 「‥俺には他に、
 好きな人がいるから」



 一瞬安心したのが馬鹿みたい



 「そ、そー‥なんだ」

 「ああ」






 そりゃあ弦一郎だって
 健全な中学三年生だもんね


 顔はおっさんでも
 正真正銘中学生だなんだし




 好きな人の、

 ひとりや‥ふたりぐらい







 いる‥よね








 「そっか、知らなかったよ」






 どうしよう、泣きたくないのに
 目の奥が熱くなってくる






 「千尋、」



 も、何も言わないで








 「―…‥」

 「お前だ」






 「え、?」






 「お前が好きだ」















 









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