学校にも慣れたし、
 仲良い友達もできた


 景吾だって
 みんなだって

 いるんだけど





 たまに何か、
 心細くなるって言うか










 「あたし今日だめだ…‥
 気分転換に散歩してから帰るね」












 いつもはテニス部の
 お手伝いをして
 景吾と一緒に帰るんだけど










 「そうか、気をつけろよ」

 「うん」











 景吾と別れ、
 ローファーに履きかえて
 街に出た

 雨が降っているから
 傘をささないといけない

 だから雨って嫌いなのよ




 その後は目的地も決めず
 完全にぼーっとしながら
 たださ迷ってた


















 て言うか、あれれ
 おかしいな








 「無意識とかやばい」










 気がつけばいつの間にか
 立海の前に立ってるあたし

 そんなつもりなかったのにな




 て言うか電車乗ったのとか
 全然覚えてない







 みんな、元気かな‥
 ちょっと見るだけ

 遠くからちょっとだけ










 「よし、」











 テニスコートに
 移動しようとした時

 遠くに彼を見つけた






 後ろ姿だけど
 見間違うはずもなくて










 「げ、ん‥」




 思わず名前を呼びかけて
 彼の横にもう一人

 なんかちっさくて




 可愛らしい感じの女の子


 あたしの知らない子だ








 一つの傘に
 二人で入ってて

 肩が触れる程近くて
 弦一郎も笑顔で

 あ、なんか



 胸がチクンて












 「はは、」







 胸が張り裂けそう、って
 きっとこういう事を言うんだ

 息が、上手くできないや







 「あたし何やってんだろ」









 自分から離れたのに。

 自分で決めたことなのに。







 と言うか
 もしかしたら弦一郎も
 あたしの事、なんて

 ほんの少しでも
 思ってた自分が恥ずかしい











 「馬鹿、みたい」











 ああ、今日だけは
 雨降っててよかったって思える

 傘さしてるから
 あたしに誰も気付かないし


 この頬を伝う水だって、




 誰にも見られる事はないんだもの










 











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