相互感謝(きたの様) | ナノ

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ジンと飛鳥の日常

「―――オマエ、新人?」
「あ、はい。はじめましてセリと言います」

―――彼にあったのは偶然だった。

たまたまスタジオが一緒になって、休憩のときに声をかけてもらえたのが始まり。雑誌の中のヒーローは雑誌から飛び出しても男前で、思わず見とれたのを覚えている。

「俺、ジンな。よろしく」
「はい」
「っていうか、同じ大学だよな?オマエみたことがある」
「本当ですか?」

びっくりして聞き返すと、ジンさんは大きく頷いて笑いながらこういった。

「あぁ、いつかモデルになりそうなイケメンだなって思いながら見てた」

………この人は…っ

天然たらしだ。聞いてるこっちが恥ずかしくなって俺は俯く。

そんな俺のことを気にいってくれたのかは分からないが、連絡先を交換して、大学でも見かければ声をかけてくれるようになって。

テストでも、助けてれて。

「ほい、過去問4年分。コピーして他の奴らにも回してやれよ」
「………ありがとうございますっ!」

メールで学食に呼び出され、過去問をもらって俺は深々と頭を下げた。

ジンさんはそんな俺を見ながらおかしそうに笑う。

「大げさだな。…ま、一年の最初の試験ってそんなもんだっけ」
「なんだかもう勝手がわからなくてどうしていいのか…」
「大丈夫。そのうちノート取るのめんどくさくなってきても何でか受かるし」
「それはジンさんが頭がいいからでは…」
「かもなぁ」

ニヤニヤと楽しそうに笑うジンさんに、俺はつられて笑ってしまった。

ジンさんといると、いろんな人から視線を向けられていることに気づく。すでに4年同じキャンパスにいても、彼ほど存在感があると注目の的なのだろう。

また、彼は気さくな性格なのでいろんな人から声をかけられている。それに一つ一つ丁寧に挨拶を返すから彼の人柄がうかがえるというものだ。

「ジンさん、人気ですね」
「はぁ?あの視線は違うだろう」
「無自覚なんですね」
「オマエがな。『そのイケメン紹介しろよ』って視線を俺に送ってるんだよあいつらは」

呆れたように言われ、俺は驚きに目を丸くする。それがジンさんには新鮮だったようで、重ねるように言われた。

「『モデルが二人いる』って珍しがられてるんだよ。ま、俺がイケメンなのは今更だけどな」
「ふふ、自信満々ですね」
「今更だろう?」

ジンさんにつられるように、俺は声をあげて笑ってしまった。

自分に自信があって、それを認めていける。受け止めて、他の人にまで目を向けられる。

彼こそ本当の大人じゃないかなと思うと、あこがれの気持ちがやまない。


ジンさんは、俺の自慢の先輩です。





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