1



―――雨は嫌いだ。

ベンチに行けなくなるから、昼休みに先輩とあえなくなる。

それだけで落ち込んでしまうのだから、俺はどっぷり先輩にはまっているようだった。

今まで晴れが続いていたのが奇跡的で。

雨になった時のことなんて考えていなかった。何気なくベンチに行って、何気なく会話するだけだから、約束も必要ないということだろうか。

でも、梅雨になって、最近はずっと雨ばかりで。

大地を潤す雨だけど、俺の潤いをバッサリ断ち切ってくれているのが憎たらしい。

そんなことを考えながら学校につき、下駄箱を開けると一通の手紙があった。

『慶太へ

今日は第一視聴覚室に集合にしていい?

無理なら来なくていいんだけど、一応待ってます

芹沢飛鳥』

先輩の朝は早い、と聞いていたけど。

俺は先輩が俺にメッセージをくれた幸せをかみしめながら、1人手紙を片手に悶えていた。

やばい、可愛い。

行かないわけがないじゃないですか。遠慮しなくても、先輩が呼んでくれたら飛んでいくのに。





[ 3/11 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



top


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -