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友達と別れると、俺達は柊くんの家に向かって歩き始める。

最近では大学に近い柊くんの家に寄ってまったりするのが当たり前になりつつあった。

「……さっき、何て返すかなーって聞いてた」
「えっ!?見てたの?」
「ちょっと気になってな。……でも、嬉しかった」

そう言うと、柊くんはこっそり俺の手を握る。

どきどきしながら柊くんを見ると、ちょっと意地悪く微笑んでいた。

「……ヤキモチ妬きなんだな、飛鳥」
「だって……」
「俺がもし浮気とかしたらどうする訳?」
「どうって…………」

いじわるスイッチの入った柊くんは、俺が答えるまで絶対に許してくれない。言うまでイタズラされたりして、最終的にどんな恥ずかしいことも強制的に言わされるのだ。

だから、俺は観念したように呟いた。

「……泣いちゃう、かな」

相手を殴ってとか、もし女の子だったら出来ないし。きっと俺は泣いて惨めにすがることしかできないだろう。

だけど、それを聞いた柊くんは俺の頭をぐしゃぐしゃ撫でた。

「……本当、お前はよー……絶対浮気しねーから安心しろ。むしろ俺の方が中里に行かないか不安だっつうのに」
「そんなの!俺だって浮気しないし!」
「どうかなー」

柊くんはそう言うと、大通りに出る直前に俺を抱き寄せて意地悪く囁いた。

「──なら、今晩証明してもらおうかな」
「─────っ!」

柊くんの言わんとすることがわかって、ボッと顔が赤くなる。

そうして、俺に反抗させまいと、そのまま早い足取りで柊くんは大通りに出て行った。

「──もう、意地悪」

そんな背中に小さく呟いて苦笑すると、俺は柊くんを追いかけた。




───モデルじゃなくなっても、変わらない関係がここにある。

静かに、確かに刻まれていく幸せの日々は、まだはじまったばかり。




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