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―――改めて自己紹介します。

俺の名前は湊あゆむ。国立大学教育学部数学科に通う、至って普通の人間である。

身長も176くらいで、別に高い方ではないし、顔立ちも人よりすっきりしているくらいで、いわゆる普通顔。さわやか系とは言われるが、当然モテた経験なんてない。

髪の毛は適当に明るくして、ピアスも数個開けているが、いまどきの大学生なんてみんなしているので特徴にもならない。

今年大学二年目に入ったところで、彼女もいない。

至って普通の男なんだけどなぁ……

「……なぁ、水脇って知ってる?」
「はぁ?同じ北高ならオマエの方が詳しいだろ」
「だよなぁ……」

食堂で向い合せに座りながら、同じ学部の三谷(みたに)にため息をつく。三谷は高校が同じ学区にあったこともあり、すぐに親しくなった。

実家もあまり遠くない、と聞いて驚いたのを覚えている。

「あ、その人私も知ってる。ミスキャンメンズの優勝の人でしょ?」
「そーそー。コイツ同じ高校出身なの」
「えー!意外!!」

悪かったな意外で。

三谷の隣に座っていた、三谷の彼女、香澄(かすみ)が楽しそうに笑っているのを見て、俺は小さくうなだれた。

「あんなに綺麗な人と同じ高校出身者がこんなに地味なんて……本当に同じ空気吸って生活してきたの?」
「失礼だな文系と理系は校舎が違うんだよ!」

そう叫んで、俺ははたと思い当たった。





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