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腕の中でぷるぷる震える聡を抱きしめて、額にキスを落とすと、俺は聡にもう一度『好きだ』と呟いた。

「……僕、今人生で一番幸せかも」
「大げさだな。コンサート行ったらまたそう思うんじゃねえの?」
「ふふ……その時は、その時」

聡は笑うと、俺の胸にすり寄ってくる。疲れたように息をする聡をベッドに運んでやると、隣に横たわって頭を撫でてやった。

すると、すぐに聡は寝息を立て始め、俺もつられるように眠気に襲われてくる。

「―――お休み、聡」

俺はそのまま聡を抱きしめると、幸せをかみしめていたのだった―――。



―――目が覚めると、まだ夜は明けていないようだった。

深夜くらいだろうか。首をかしげつつも再び横になっていると、聡が起き上がる気配がした。

「ん……あゆむ?」

思わずタヌキ寝入りをしてしまい、声をかけられても起きることができない。

どうしようか、と思っていると、柔らかなものが俺の唇に触れた。聡の唇、と思うと、驚きも相まって目を開けてしまう。

「あ―――」

ぱちり、と目を開ければ、聡は驚いたように飛びのいてしまった。そして、顔を真っ赤にしてシーツの中に逃げ込んでしまう。

「お、起きて……っ」
「いや、今起きたとこ。恋人のキスで目覚めるとか、眠り姫ッぽくない?」

冗談交じりに言うと、聡は真っ赤になりながらシーツの中に逃げていこうとする。俺はそんなシーツの塊ごと抱きしめると、『嬉しかったよ』と囁いた。

「……前は、キスしても起きなかったのに」
「ん?前?」
「前、泊ってた時……こっそりしても、あゆむ寝たままだったから、つい…っ」

つい、キスしちゃったって。

本当に、なんてやつだ。

可愛くて、小悪魔で、でもやっぱり綺麗で。

臆病なのも、全部受け止めるよ。そんなところも、俺への愛へと思えてくるから、恋って厄介だよね。

好きすぎて、幸せ過ぎて、どうにかなりそう。

―――そんな恋を、今俺は手に入れました。





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