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「……ん?」

ポストから手紙を取り出すと、恐る恐る封を切る。そこにあったのは、スカイブルーの東京公演のチケットで、しっかり二人分、隣同士で取れていた。

……一緒に行く約束、してたのにな。

あの頃は、ただひたすら楽しくて。

話を聞いてくれて、おかしいことには声をあげて笑ってくれて。

「――――仲直り、したいな」

ぽつり、とそうつぶやいたとき、頬に一つ涙が伝った。

なんだ、俺、聡のこと大好きじゃん。

こんなに好きで、たった数日いないだけで、こんなに胸にぽっかり穴があいて。

鈴鹿に敵わない、なんてことないよ。

俺にとっては、鈴鹿より聡の方がずっと魅力的なんだ。

だから、もっといろんな顔を見せてよ。

怯えないで、嫌ったりしないから。

話して、どんな話もちゃんと聞くから。

だから―――傍にいてよ。

隣で笑っててよ。

「………っ、学校戻る!」

俺はチケットを鞄に押し込むと、来た道を走って逆戻りした。

途中で三谷にメールして、聡を呼び出してもらうように頼む。俺が連絡しても出ないのだから、少しだけズルを許してほしい。

一分一秒がもどかしかった。

学校まで距離が近いから、とこのアパートを選んだのに、学校が待ち遠しくて仕方ない。
全力で走って、秋なのに汗をぽたぽた垂らしながら食堂に向かう。





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