12
「あぁ、面白かったな?」
「クライマックス覚えてないくせに」
「………」
上の空だったことを指摘され、俺は正直に『ごめん』と謝った。すると、聡はくしゃっと笑ってリモコンを操作する。
「別に謝らなくてもいいのに。一週間レンタルだし、湊の家に置いとくからヒマな時にちゃんと見ときなよ」
「うん、ありがとう」
「でも、本当に大丈夫?熱があるなら帰ろうか?」
リモコンを操作して、テレビを切った聡が、俺の額に手を当てながら心配そうに見上げてくる。
必然的に近くなった距離に、俺は何かが焼き切れそうになった。
「……湊?」
何も言わなくなった俺に、聡は不思議そうに首をかしげる。
その、俺の名前を呼んだ唇に、キスしたい。
それはもう衝動だった。さっきまでの自分の葛藤が嘘のように、聡にキスしたいと思ってしまった。
「んっ」
聡の腕を引いて、俺の膝の上に乗せると唇を重ねる。綺麗だと思っていた形の良い唇はとてもやわらかくて、俺は夢中で口づけた。
「やぁ…みな、んっ」
「聡……」
驚いたようにもがいていた聡を抱きしめると、髪の毛を撫でて、全身を撫でる。身体のラインが思った以上に細くてびっくりしたけど、触れるたび興奮して止まらなかった。
聡も、観念したのか俺の背中に腕を回すと、一生懸命俺のキスに応えようとしてくれている。そのしぐさがいじらしくて、俺は呼吸も忘れて聡の唇を貪った。
[ 12/22 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top