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「…………何で」
「見てたら分かる。―――この際だから、いっときたいことがあるんだけど、オマエ今狙われてるんだけど?」
「スナイパーに?」
「頭は大丈夫か」

大丈夫じゃないかもしれない。

頭が三谷の言葉を拒否している。どれも初耳で、俺は言葉を素直に受け止めきれなくなっていた。

「水脇、恋する乙女の目してるじゃん。香澄も気づいてるぜ。ま、別に嫌悪感とかは無いけどな。素直で可愛いし」
「―――うん」

それは認める。すごく素直で、すぐに顔が真っ赤になるところとか、はにかんだように笑うところとか、いろんな魅力を知っている。

でも、恋愛感情かどうかといわれると正直わからない。

聡はすごく優しくて、『友達から』という言葉通り、手をつなぐ以上のことは要求してこなかった。

手をつなぐだって、最初こそお願いされたものの、最近では俺が自主的につないでいるのが真実だ。

そんな中、今の関係が楽しくて。

聡が俺のことを好きなんて、忘れたわけではない。でも、今の関係が楽しすぎて、考えないようにして来ていたのは事実だ。

そんな俺に追い打ちをかけるように、さらに三谷は続ける。

「教育のマドンナ、鈴鹿知ってるだろ?今オマエ狙ってるらしくってな、良く聞かれるんだよオマエのこと」
「え……」

鈴鹿は、教育学部で一番可愛いと噂されている女子だ。読者モデルでもできそうなくらいに整ったスタイルと、魔性の笑顔。

隙のない姿に同性からの支持もあつい。

「スカイブルー談義が楽しいのは分かるけどさ、それだったら鈴鹿でもいいじゃん。鈴鹿今勉強してるらしいし」

この後に続く三谷の言葉なんて、すぐに予想できた。

だって、俺が一番言われたくない言葉だったから。

「―――だからさ、水脇に応える気が無いならさっさと振ってやれよ。あれじゃ水脇がかわいそうだ」





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